howほっしーさんの美容道
美容師を続けていれば、その仕事をするうえで、大切にしていることやポリシーのようなものがきっとあるはず。ここでは、人気スタイリストに美容師という職にまつわる質問をあれこれ投げかけて、その人の美容道を探ってみたいと思います。今回は、『how(ハウ)』のほっしーさんです。 ≫how ほっしーさんの動画も公開中!「how ほっしーさん直伝!ボブ徹底解説!」 美容師を目指したきっかけは? 「小学生の時、当時担当してくれていた美容師さんに憧れたからです。その美容師さんに服をいただいたり。小学校3年生の頃の話なので、自分でアメリカ村に服を買いに行くことがなかったので、身近にオシャレと感じる場所が美容室でした。そこからは、美容師になるということしか考えていなかったですね」 得意な技術は? 「カットです。カットが唯一、料金をプラスせずにヘアスタイルを変えることができると思っています。例えば、カラーだとダメージレスにしようとすると、良い薬剤を選ぶことでどうしてもプラス料金がかかってしまうんです。でも、カットに関しては自分の腕だけが勝負ということもあり、こだわりたいと思っています。それと、デザイン的な似合わせというところも、美容師の個々の色が出てくるポイントだと思っているので、カットは自分らしさが一番出しやすいと考えています」 施術するうえでこだわっていることは? 「再現性と持ちのよさ、お客様のライフスタイルに負荷のかからないことを心がけています。美容室ではなく家でもできる再現性という部分を大切にしていますし、髪を切ってから、ある程度時間が経ってもまとまりやすいデザインにするようにしています。ちなみに、カットは技術というよりは、どれだけ1人のお客様に対して想いやれるかということが、カットの上手さではないかという考え方です」 美容師をやっていてよかったことは? 「ずっと学べることです。いろんなお客様と出会えて自分の知らない世界の話や物事を知れることです。美容師という仕事を第一でやっていますが、違う仕事にも興味があるので、いろんな話を聞けるのは美容師だからこそできることだと思います。それは、人生においてもよかったことですね」 技術以外で身についたスキルは? 「カメラです。カメラをやりだしたのは、5-6年前くらいからで、ハマったきっかけは、単純にガジェットが好きだったことです。仕事でも撮影することが多いので、それも相まって好きになりました」 美容師としての自分のこだわり、自分らしさとは? 「先ほども言いましたが、再現性と簡単に扱える髪の毛、頑張らなくていいヘアスタイル作りです。人によって髪の毛に対してかけれる時間は違うと思っています。お子さんがいたり、朝が忙しい人でも最低限の時間で簡単におしゃれになれるようなヘアスタイルを提案できれば一番いいかなと考えていて、お店でよく提案しているのがボブになります」 なぜボブにこだわっているのか? 「今の時代のライフスタイルに1番適していると思っていて、忙しく時間がない中でもおしゃれが成り立つボブを作るためです。ヘアスタイルとして扱いやすいところも兼ね備えているので、ニーズが幅広いボブをよく提案しています。仕上がった時のデザイン性や質感にもこだわっています」 その他で注目しているヘアスタイルは? 「パーマの多様性に魅力を感じています。それこそ、ボブに飽きた人たちに提案できるくらいのパーマで、そのパーマも元のストレートにすぐ戻れるくらいのパーマがよいと思っています」 トレンドの情報源は? 「ピンタレストや外国の方のSNS、最近は中国版Instagramの小紅書(レッド)などもチェックしています。小紅書は、中国とか韓国の美容師さんの投稿もあって、日本とは全然違う発想のスタイルとかがあり、アイデアを得る部分で活用しています」 ほっしーさんの美容道を探るインタビューはいかがでしたでしょうか? 美容師になったきっかけがおしゃれへの憧れで、別記事の1週間コーデにも登場してもらったくらいおしゃれなほっしーさん。カットは想いやりと教えてくれましたが、センスフルな方だからこそできるカット術でもあると、実際のカットを拝見して感じました。 ≫続いて「how ほっしーさん直伝!ボブ徹底解説!」動画を見る ほっしー how オーナー Instagram:@hosshiimo 経歴:ヴェールルージュ美容専門学校。大阪市内のヘアサロンを2店舗勤めた後、昨年に自身のヘアサロン『how』をオープンさせる。 <SALON DATA> how/ハウ HP:how-hair.com Instagram:@how.hair
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birth by happiness銀納さんの美容道
美容師を続けていれば、その仕事をするうえで、大切にしていることやポリシーのようなものがきっとあるはず。ここでは、人気スタイリストに美容師という職にまつわる質問をあれこれ投げかけて、その人の美容道を探ってみたいと思います。今回は、東京のヘアサロンを経て地元・奈良で『birth by happiness(バース バイ ハピネス)』を営む銀納さんです。 美容師を目指したきっかけは? 「高校生の時から髪をセットするのが好きで、髪自体に興味はありました。それで、当時付き合っていた彼女が美容師になりたいと言ったので、一緒に美容師を目指すのもよいと思ったのがきっかけですね」 得意な技術は? 「メンズのパーマです。波巻きパーマが特に得意で、ツイストパーマやスパイラルパーマといった無造作に動くパーマには自信があります」 施術するうえでこだわっていることは? 「お客様のなりたいイメージに極力近づけて、似合わせることですね。お客様がお店に来る前からなりたい髪型を決めて来られるんで、その髪型に近づけるようにします。似合わなかったとしても、似合うようにアレンジしながら極力近づけるようにはしています。でも、そのなりたい髪型に長さが足りなかったり物理的に難しいときは、伸びる時期を想定して、それに向けての髪型を提案したりはします」 美容師をやっていてよかったことは? 「僕と出会えて良かったと言ってくれるお客様がいることが、やりがいでもあり、よかったと思えますね。高校を卒業したタイミングでヘアスタイルに興味を持ち出すお客様が増えるんですが、そのきっかけを作れる瞬間とか興味を持ってくれたことに喜びを感じます。やはり、高校時代は校則もあるのでパーマなど、ずっと我慢しているのを見てきたので、卒業して念願のパーマをかけた時は自分のことのように嬉しく思えます」 技術以外で身についたスキルは? 「集客のやり方です。僕が東京にいたときに、先輩たちがInstagramを使ってすごい集客をしていました。それまではInstagramで集客ができることなんて知らなくて、業界雑誌に頼らずにSNSだけで集客できることに可能性を感じましたね。その先輩たちにノウハウを教えていただき、僕もそこから力を入れるようになりました。最初はいろんなヘアスタイルを投稿し、どれに反応が良いのかというのを分析します。それと、地域を入れることも重要です。それで、パーマへの反応がよかったらどんなパーマがよいのかと絞っていきます。それを根気よく続けていくと集客できるようになりました」 美容師としての自分のこだわり、自分らしさとは? 「先ほどの言葉と被りますが、お客様に提案するのはもちろんですが、そのお客様のなりたい髪型に近づけることです。それこそ僕が高校生くらいのときに、なりたい髪型の写真を持って美容室に行っていましたが、希望の髪型通りにしてもらえた記憶がなくて(笑)。そんなことが経験としてあるので、そんな想いをお客様にさせたくないので極力近づけるようにしています。高校時代の自分が今の自分に出会えたらよかったと思えるような美容師になりたいと、美容師になる前から思っていました。東京に行ったのもメンズのヘアスタイルを学びたかったというのがあります。当時はメンズ専門の美容室が東京にしかなかったのでやむを得ずという感じで。できるのであれば、ずっと奈良でやりたかったです」 メンズ専門の美容室にした理由とは? 「自分が男でカッコよくなりたいという気持ちが共感しやすいからです。逆に女性のかわいいという感覚がわからないので(笑)。やはり男性の髪を切っているときが楽しくて、そのことを美容師になった1年目で気づいたんです。でも、当時はメンズ専門の美容室は奈良にはなく、先輩たちにも否定されたんですが、その悔しさもあって絶対に奈良でメンズ専門の美容室をやると決めました」 メンズカットをする上で特にこだわっていることは? 「誰にかっこいいと思われたいか、ということです。切ることに対して少なからず理由があると思っていて、誰にかっこよく思われたいかで切り方も変わります。例えば、彼女から思われたいのであれば、その彼女がどういう男性をかっこいいと思っているのか、わかりやすく芸能人のタイプとかも聞き出したりしますね。その辺の気持ちは極力聞いて再現出来るように意識しています。それと、メンズならではの髪型のこだわりがありまして、例えば、刈り上げのミリ数とか。そういった部分もメンズ専門店だからこそできる部分だと思います」 銀納さんの美容道を探るインタビューはいかがでしたでしょうか? メンズのヘアスタイルにおもしろさを見い出し、愛する地元でメンズ専門店を構えた程の熱量には関心させられました。そして、SNSを駆使した集客術にも現代進行形の美容師さんの姿がみえました。 そんな銀納さんに、動画でもメンズカットを徹底解説いただきましたので、是非チェックしてください! 【銀納さんのメンズカット徹底解説動画】はコチラ 銀納宇宏 birth by happiness 代表 Instagram:@gin_0129 経歴:大阪ヴェルエベル美容専門学校卒業。地元・奈良のヘアサロンに就職した後、メンズのヘアカットを学びに都内の有名メンズヘアサロンに就職。その後、奈良のヘアサロンに再就職し、メンズ専門のヘアサロンを立ち上げる。 <SALON DATA> birth by happiness/バース バイ ハピネス HP:www.hairmake-happiness.com Instagram:@mens_salon_birth
MY RULE【Fleur 吉川友加里さん】ゲスト視点でいることが、自分にとってのモチベーション
SNSは、今や集客・ブランディングの大きなツール。プロフィールに自分のウリをアピールする人も少なくありません。今回は、ボブを得意テクニックと打ち出すFleurのスタイリスト、吉川 友加里さんにインタビュー。得意分野や自分なりのこだわり、センスや技術の磨き方を聞いてみました。 ニーズに合わせて作り出した「ウリ」 ー吉川さんは、Instagramのプロフィールにも「ボブ」を前面に打ち出しされています。ボブを推すようになったきっかけは? 「スタイリストデビューしてすぐ、Instagramでの集客を視野に入れ『ボブ推し』を始めました。実際はボブだけでなくショートやロング、まんべんなくお客さまを担当していたのですが、予約の効率化や、SNSではフックがあるほうがいいと考え、ボブを打ち出しました」 ーSNS集客の戦略として始められたんですね。 「実際カウンセリングしていていると、簡単でまとまりやすい、楽にお手入れをしたいという方が多くて。さらに来客ペースが2ヶ月~2ヶ月半くらいが現実的で、子育てのお客さまが多いという面も踏まえると、ロングだとお手入れに時間がかかる、ショートだと来店ペースが速くなり時間を取りづらい。そういったお客さまのニーズに合わせて、自然とボブを提案していったという感じです」 ースタイル作りの際のこだわりや気をつけていることは? 「髪質がきれいに見えるように、量感調節をすることです。セニングも使いますが、ツヤ感を出すためにスライドカットやストロークを取り入れるようにしています。また、お客さまが自分でもきれいに見せれるように、乾かしただけでキマるスタイルを目指しています」 ーカウンセリング面はどうですか? 「とにかく朝起きて自分の準備は簡単に済ませてという方が現実的に多くて。平日をラクに過ごしたいか、休日にしっかりおしゃれしたいかなどもしっかりヒアリングするようにしています」 洗練されたスタイルの秘密は、第三者の視点 ーボブの技術やセンスを磨いていくためにしていることはありますか? 「セミナーは定期的に受講していることと、業界紙や雑誌、SNSのチェックは欠かしません」 吉川さんのボブスタイルコレクション ーボブの技術を極めていく上で苦労したことはありますか? 「理論的に考えすぎるあまり、レッスンが思うように進まず先輩たちをたくさん悩ませたことも…。でもその結果、たくさんの教えをいただき、自然とカットが好きになっていきました」 ーちなみに、休日はどのように過ごされているのでしょうか? 「まわりに意識の高い美容師のお友達が多くて。ゴハンに行ったりおしゃべりして過ごすのがほとんどですが、必ず仕事の話になります。むしろ、仕事の意見が聞きたくて誘うこともあるくらい。悩みを相談したり、他の美容師さんの話を聞いて刺激を受けたり。定期的に外に出て、横のつながりを持つために交流するようにしています」 ー改めて、ボブの良さとは? 「ボブって似合わせの幅が広い髪型だと思います。また、経験が浅いと見えてなかったこともあるなと、最近思うんです。大人のボブのフィットのさせ方など、実は極めれば極めるほど難しく、すごく奥深いなと感じているところです」 ー吉川さんの「自分らしさ」って何だと思いますか? 「私は、いつでもお客さんファーストで仕事をしています。作るスタイルもお客さんベース。自分がどうしたいかよりもどうやったらこの人が明日からラクに過ごせるかに重きを置いているんだと思います。ボブは、そういう私らしさを発揮しやすい髪型なのかもしれません」 Fleur トップスタイリスト 吉川 友加里さん 1990年生まれ。高津理容美容専門学校卒業。2社のサロンを経て、地元へ戻りFleurで2019年より働く。「ナチュラルで、作り込んでなくてかわいいスタイルにチャレンジしていきたい」。 Instagram : @fleur_yoshikawa <SALON DATA> Fleur/フルール 大阪府和泉市桑原町282-1 マルベリーパレス103 https://fleur103.com/ Instagram : @hairplacefleur
MY RULE【CARTA 相良 悠さん】似合わせのコツは、可愛いポイントを見極めること
多様性のこの時代をサバイブするための、個性の見つけ方やスキルの磨き方を伺うこの企画。 今回登場していただくのは、CARTAでチーフを務める相良 悠さん。老若男女問わず幅広い客層から支持を集めている彼女に、自分流の似合わせ術や大切にしていることを聞きました。 幅広い世代の似合わせヘアを作る ー相良さんといえば【#さがらのデザイン】でSNSを発信されていますが、拝見するとお客さんの層がすごく広いですよね? 「そうなんです(笑)。最年少は5歳くらいのお子さんから、最高齢は85歳のおばあちゃんかな。男女問わず、幅広く担当させてもらってます」 ー幅広い年齢の方を担当するって難しそうなイメージなのですが、共通して気をつけていることはありますか? 「やっぱり一番はヒアリングです。お客さんがイメージする仕上がりと自分のイメージのすり合わせが大切だと思っています。希望するスタイルの写真を見ても、髪質や生えグセによっては難しい場合もあるので、その場合はきちんと説明します。そしてそのスタイルの好きなポイントを教えてもらって再提案する。お客さんに納得してもらってから施術に入るようにしています」 ーやはりヒアリングが大切になってくるんですね! 「特に初めての方はじっくり話すので長くなることもありますが、こちら側もどんどん掴めてくると必然と短くなりますね。最初はこの人すごくこだわりが強いな…と思っていた方でも回数重ねていくと、10秒で決まることもあります(笑)」 ーその人らしさを引き出すコツはありますか? 「感覚的なのですが、自分がその人を見て可愛い!と思うポイントに目が行くようなスタイルにしているのかなと思います。例えば、口が可愛いなと思ったら、リップラインの延長線に毛先がくるようにするとか…。あとは、その人の好きなファッションとかメイクを見て似合うヘアスタイルを提案しています」 ーなるほど。例えばどんな風に? 「この子は服装とかはクール系なんですが、笑顔がすごく可愛らしいんです。だから前髪の透け感を意識して柔らかい雰囲気になるように仕上げつつ、目尻から耳の付け根にかけて、パツっとしたカットラインでモード感を出してみました」 丁寧なブロー&コーミングこそ、仕上がりの明暗を分ける ー技術面で大切にされていることはありますか? 「髪を大切に扱うこと、綺麗に見せることが一番だと思っていて。カットやカラーの細かい技術というより、ブローやコーミングを丁寧にすることを心がけています」 ー意外な答えでした!まず、ブローにこだわる理由を教えてください。 「やっぱり仕上がりに影響するので。いくら上手に切れた!と思ってもブローを雑にしてしまうと全然キレイに仕上がらないんです。その人の毛流れやクセをきちんと見極めてブローをするだけで本当に変わります。」 ーなるほど。仕上がりにかなり影響するんですね。 「雑にしたら仕上がりはイマイチになるし、丁寧に扱ってあげるとキレイになる。つくづく、髪って生き物なんだなって思います(笑)」 ーでは、コーミングはどのような影響があるんでしょうか? 「とにかく髪への負担を最小限にしてあげたいと思っていて。濡れている髪に雑なコーミングをしてしまうと、すごくダメージを与えちゃうんです。それにお客さんも気持ち良くないですし…。後輩やアシスタントが雑にしているところを見るとめっちゃ怒ります(笑)」 ー確かに改めて相良さんのデザインを見返すと、仕上がりがすごく綺麗に思います。丁寧なヒアリングと施術がその人の魅力と髪のポテンシャルを引き立てているのかもしれないですね! 「自分でも無意識にしていたことですが、改めて話すと、割と髪の毛を大切に扱うことを大事にしてるんだなって気付きました。やっぱり基本的なことはこれからも大切にしていきたいですね」 CARTA チーフ スタイリスト 相良 悠さん 関西美容専門学校を卒業後、新卒で『CARTA 』に入社。美容師歴は今年で12年目。アットホームなサロンで、0歳代〜80代(!)まで手がける。イラストを書くことが得意。 Instagram : @sagabeee <SALON DATA> CARTA /カータ 大阪市福島区福島6-16-9 https://hairbook.jp/salons/5484/
t.a.g 仲地さんの美容道
「あなたらしさって何ですか?」 この問いに、あなたはすぐ答えられますか?その人が得意とするテクニックを切り口に、美容師というお仕事をするうえで大切にしていることやポリシーを紐解き、自分らしさを磨くためのノウハウや考え方をお伺いします。 今回は、カラーに特化したヘアサロン『t.a.g』のオーナーである仲地龍太さんです。 >> 動画はコチラ ー仲地さんが美容師を目指したきっかけは? 「きっかけは、高校生の時に担当してもらった美容師さんがかっこよかったっていうシンプルな理由です。その美容室に入店した時、荷物を預かってくれるというサービスが初めてだったので感動して。それで美容師になろうと思いました」 ー特殊な経歴をお持ちとお聞きしましたが…。 「そうなんです。実は左官業をしていたことがあります。あのコンクリートを滑らかにする建設業の…」 ーなかなかそんな過去をお持ちの美容師さんはいないですよね! 「高校生の時、大学に進学したかったんですが、兄弟が5人いるので経済的に難しくて。もちろん美容学校もダメ。それなら美容学校なら通信制があるので働きながら通えるなと思い、左官業をして働いてお金を貯め入学し、サロンに就職して働きながら学校へ通いました」 ー今回はダブルカラー+エンドカラーというデザイン性の高い施術を実際に披露していただきました。仲地さん的ポイントは? 「ブリーチですね。モデルさんがすでにブリーチ毛で、根元の方が黒くなっているのでまず先にレタッチ。体温の影響で地肌に近いところがすごい明るくなりやすいんですが、根元1cm、 2cm~3cm、3cm以降と段階的に明るくなりやすいので、それを計算しながら塗り分けていくのが、一番時間がかかるところでした」 ー仲地さんはインスタグラムでも「ハイライトの神」と自らを表現されていますが、今回のようなダブルカラーやハイトーンカラーが得意なのでしょうか? 「t.a.gはカラーに特化したヘアサロン。僕はハイライトを売りにしていて、他のスタッフもバレイヤージュやミルクティベージュ、ルーツカラー、派手髪などそれぞれの売りのテクニックを持っています」 ーそうなんですね!仲地さんがハイライトを売りにしたきっかけは何だったんでしょう? 「当時ハイライトが流行っていて、どこかの美容師さんが載せてるハイライトがすごい好きだったんです。それをできるようになりたいなって、職場のみんなで研究していたんです。僕自身はそこまでガチでやろうとは思ってなかったんですけど、スタッフがやってほしいですと言うので、じゃあちょっとやってみようと思ってやってみたら、できるようになったという感じです」 ースタッフのリクエストに応えてやりはじめたと。 「そうですね(笑)」 ーハイライトもそうですし、今回のようなハイトーンやデザインカラーの時に気をつけていることはありますか? 「まずはダメージを極力少なくすることです。ブリーチやカラーをする以上、ダメージは絶対あるんですが、それをいかに減らせるかです。そのためにケア剤も導入しますし、塗り分けが大切になってきます」 ー他には…? 「似合うか似合わないかを、必ずお伝えするようにしてます」 ーなるほど!似合わない時ははっきり言いますか? 「はっきりとは言わないです(笑)。僕はまずはお客さまがやりたいことを受け入れたいです。その上で、他の方の例をあげてリスクを提示したり別の提案をして、最終的に納得のいくゴールを見つけていきます。なのでカウンセリングは長い方だと1時間かけることもあります」 ーカウンセリングに1時間ですか!すごい。 「やりたいカラーを今の髪にするとどんなリスクがあるかということだったり。それに、ハイライトって人によると白髪みたいに見えてしまう場合もあるんです。なのでその人の友人関係やキャラクターを考慮したうえで、このカラーにしたらどう突っ込まれるか…なんてこともイメージしながら決めていきます。もちろん、その人が帰った後にできるスタイルになるようにしています」 ー仲地さんがカラースタイルを極めていく中で、ともに磨かれたスキルはあったりしますか? 「観察力ですかね…?お客さまの髪やファッションはもちろん、話していくとニュアンスでこれはやりたくないだろうなとか、いいですよって言ってるけど、そこに含まれているわだかまりがある感じを察するようになったというか」 ーずばり、仲地さんの美容師としてのポリシーって何でしょうか? 「ダサいこと。人間鈍臭いところがあってもいいって思うし、失敗したことを隠さず素直に伝えることが大事だと思います。カラーってなかなか思っているように出ないこともあるんです。その時に、『めっちゃいいです!』なんて言わないです。正直に伝えて、お直しも提案させていただきます」 ー落ち込んだりイラッとした時はどう乗り越えていますか? 「イラッとしたときの考え方があって。基本的に人を嫌いになるのは、自分が育ってきた環境で大切にしていることを侵されるからなんです。だから他人の考え方や育ってきた環境が違うと理解したら、自分がイラッとしているだけで、その人は悪くないんだと思えるようになるんです」 ーすばらしい考え方ですね!ちなみに、SNSはどのように活用していますか? 「SNSは信頼度UPのためです。今はスタイルをほぼ載せず、僕の考え方やどういうふうなプロセスでお客さまに寄り添っていくかというカウンセリングのしかたなど、スタイルをつくる上で大切にしていることを乗せるようにしています」 ーちなみにInstagramに載せてらっしゃるゴリライトというのは!? 「僕ゴリラって呼ばれてたので、自分がつくるコントラストがついた立体的なカラーのことをそう命名しました(笑)」 華やかなデザインカラーを作り出す仲地さん。話すととても気さくで、柔らかな人柄にギャップがある、美容師としても人としても魅力的な方でした。テクニカルなカラーの裏には、経験で培った成功術が隠されている。そんなことに気づかされました。 仲地龍太 t.a.g オーナー Instagram : @t.a.g_ryuta tiktok : @ryuta0610 経歴 : 高校卒業後、左官業をしながら資金を貯め、大阪美容専門学校(通信制)へ入学。同時に某サロンへ入社。スタイリストデビューしたのち別サロンを経て独立し、『t.a.g』を共同経営としてオープンさせる。 <SALON DATA> t.a.g/タグ HP : https://tag-osaka.com Instagram : @t.a.g_color_hair
MY RULE【Laji 高嶺桃子さん】前髪への攻めた提案がゲストとの距離を近づける
多様性のこの時代に必要不可欠である”自分らしさ”。……しかしどうやって見つけたらいいんだろう? 今回お話を聞いたのは、かわいい前髪スタイルで人気の美容師 Lajiトップスタイリストの高嶺桃子さん。得意とするテクニックを切り口に、自分らしさを発見し磨いていく方法を聞きました。 高嶺さん流かわいい前髪のつくり方 ―「前髪だけは高嶺さんにお願いしたい」というお客さんが多いと聞きました。 「そうなんですよ。ありがたいことに、前髪カットだけしに来てくださるお客さんは結構いらっしゃいます」 ―そもそも、どうして前髪にこだわりを持つようになったのでしょうか? 「わたしが目指していたのは、お客さんのやりたいを全部叶えられる美容師像。なので、前髪を推したつもりはなかったんです(笑)。自分自身、骨格に合う前髪を模索した結果、短めが一番似合うな、となりまして。入社してからずっとですね。するといつの間にか前髪がわたしの個性になり、『高嶺さんを見ていたら切りたくなりました!』と来てくださる方が増えたんです」 高嶺さんの前髪デザインコレクション ―気づけばトレードマークになっていたんですね。前髪って髪型のキモといっても過言ではないじゃないですか。スタイルをつくるときに気をつけていることや重視していることはありますか? 「①ウェット・ドライは必須、②再現性を重視、③攻めた提案、の3つです。まず、その日ついたクセを全部リセットするために、一度髪を濡らした後、ブローをしてからカットするようにしています。次に、普段のセットの仕方などをヒアリングして、お家でもちゃんと再現できるようにしてあげることも大切です」 「そして何よりわたしがいちばん大事にしているのは、意見をちゃんと伝えること。お客さまの言われた通りにするんじゃなくて、『絶対にこうした方がもっとかわいい!』というのは思い切って提案するようにしています。『この人だったら、新しい自分を見せてくれるかも』ってお客さまに期待してもらいたいんです!」 センスを磨くコツは、飽き性と自信の無さ? ―SNSを拝見していてもすごく素敵ですし、この人の提案だったらぜひぜひお任せしたいかもって高嶺さんに憧れちゃう気持ち、とてもわかります。 「そう言ってもらえてうれしいです!おっしゃるように、信頼を後押しできるような投稿を心がけているのですがなかなか難しいと感じています…。実を言うと、自分にはセンスがないなと思っていて。だからいろんな雑誌を読んだり、ショップスタッフさんとお話を聞いたりして勉強させてもらっています」 「おまけに飽き性でもありまして…ちょっと前までは古着ばっかりだったのですが、今はセレクトショップでたくさんのかわいいものから好きなものを選ぶことにハマっています。なので、自分の投稿は一貫性がないなぁと思っていたところなんですよ」 高嶺さんの私服スタイルはいつも多彩! ―いえいえ!むしろお客さんにとってはいろんなかわいいを知っている美容師さんってとてもありがたい存在だと思います!年齢や流行によっても服の系統とか趣味って変わってくるじゃないですか。でも高嶺さんならたくさんのかわいいを知っているから、ずっと安心して通えますよね。 「確かにそうかもしれませんね!ありがとうございます。過去に前髪をつくって似合わなかったとか、前髪にまつわる後悔ってみなさん絶対に一回はあると思うんですよね。そんな方にこそぜひ来ていただきたいなって。じゃあ何がだめだったかをしっかりヒアリングして、他の美容師さんはしないような新しい自分に出会える提案をする自信はあります!」 Lajiトップスタイリスト 髙嶺桃子 関西美容専門学校を卒業後、新卒で『Laji』に入社。今年で9年目。この4月に産休から復帰!Lajiは淹れたての美味しいコーヒーが楽しめるサロン。「入社して一番はじめに教わったのはエスプレッソマシーンの使い方でした」。 Instagram @momoko_takamine <SALON DATA> Laji/ラジ 大阪市中央区北浜東1-17野村ビル3F HP:https://beauty.postas.asia/reserve/contents/reserve_top.xhtml?CODE=23184076f488be37a1cfc80fcfb5d3d1633c422b5ac90f2da0490523c19cebd3 Instagram : @hair_make_laji
MY RULE【TONAI atil 橋本真琴さん】柔軟でいることが、パーマの道へとつながった
多様性の時代だからこそ持っておきたい、美容師としての自分の「ウリ」。でも、みなさんどうやって見つけているの? 今回は、パーマスタイルが得意というTONAI atilの橋本さんにお話を聞きました。パーマが得意になったきっかけやこだわりを通して、橋本さんの「らしさ」に迫ります。 ハサミ代稼ぎではじめたら、いつの間にか強みに ーパーマが得意になったきっかけは? 「実は学生時代からワインディングが得意で、TONAI入社後にコンテストに出たら優勝できたんです。それから、ハサミが買いたくて、賞金が出るという理由でコンテストによく参加していました。すると、コンテストのために練習を繰り返すうちに、自然とパーマの基礎が身についていきました」 ー賞金稼ぎのような感じでしょうか?まさに一石二鳥! 「はい(笑)。すると、新人のうちから先輩方のパーマのサポートを任せてくださるようになって。人よりたくさん経験を積めたというのも、今に繋がっています。それに、もともとヘアアレンジも好きだったので、パーマで毛先のハネや後れ毛が再現できることに魅力を感じていました。パーマヘアなら、ポニーにするだけでもかわいくキマりますよね」 強めのパーマでも橋本さんの手にかかれば、ナチュラルな雰囲気に ー得意×好きの相乗効果で、パーマを極めてきたということですね。 「極めているんでしょうか…(笑)。でも、他の美容室でパーマがかからない・かかりにくいと言われた人でもかけられる可能性があります。髪を触れば、薬剤の選び方や置き時間などがだいたいわかります。パーマのかかりやすさを調整する意味で、ケア剤の使い方も大切にしています」 ーパーマをかけるうえで気をつけていることは何ですか? 「ワインディング技術を培った学生時代から変わらずそうなんですが、丁寧に早く、というのはもちろん、ブロッキングやコーミングといった前準備を怠らないことです。あとは、毛先の厚みを削り過ぎない。また、コテと同じ発想ですが、ここに髪が落ちてきたらかわいいな、というのをイメージして巻いています」 コーム、ロッド、ケア剤は橋本さんのパーマ三神器! 基本に忠実に、そして変化を愛するマインド ーパーマが得意になって良かったことはありますか? 「クセ毛に強くなることでしょうか。パーマでイメージをしまくっているので、どんなクセ毛の人が来ても、クセを活かしたカットデザインができるようになりました。活かし方の幅が広がるというか…。私はパーマももちろん得意ですが、ショートやヘアカラーも得意。バッサリ切ったり、変化をつけるのが好きなんです」 ーパーマの魅力って何だと思いますか? 「ラクなことです。私もパーマヘアですが、濡らして動かすだけでOKだし、スボラな人でもくくるだけでキマる。勝手にかわいくなってくれるんです。一度やってしまえば本当に変化が出しやすい髪型だと思います」 ーいつも提案するパーマスタイルのために参考にしているものはありますか? 「これというものはありませんが、普段からアートや芸術、漫画やアニメが大好きでインスピレーションを得ています。いろいろ見ているから、いろいろ対応できる。そういう柔軟性が、私らしいスタイルになっているのかなと思います」 TONAI atil スタイリスト 橋本真琴 高津理容美容専門学校卒業後、『TONAI』に入社。出産を経て今年で15年目を迎える。「ナチュラルの中にも、どこか少しエッジの効いたスタイルが好きです」。 Instagram : @makoto.hashimoto_tonai <SALON DATA> TONAI atil/トーナイ アティル 大阪市城東区今福西1-6-1 http://www.tonai-hair.jp/ Instagram : @tonai_atil
MY RULE【KIPI 早瀬 忍さん】逆張りではじめたレイヤーを極めてわかったこと
自分らしさってなんだろう。多様性のこの時代をサバイブするための、個性の見つけ方やスキルの磨き方術を伺います。 今回は、KIPI代表の早瀬 忍さん。レイヤースタイルの代名詞であるウルフを、流行する前に推そうと決めたきっかけや、そこから今につながっていることを聞きました。 ウルフを習得するまで重ねた努力はそこ知れず ―単刀直入に、早瀬さんといえばウルフカットというイメージがあるのですが、ご自身としてはいかがでしょうか? 「今はめちゃくちゃ推しているわけではないのですが…(笑)、ブームになる前からウルフカットに力をいれていたのは事実です。というのも数年前に切りっぱなしボブが大流行した時代があったんです。日本中の女の子がそのスタイル。正直つまらないなって思いました。そこで逆張りで、ウルフといったレイヤーカットの練習をはじめたんです」 ―つまり、誰もやってないということですよね。どのようにスタイルを勉強したんでしょうか? 「カットの基礎的なことは当時働いていたサロンで教わったんですが、いいなと思うスタイルは海外のモード誌やファッションショーなどを見て、どう再現するんだろうってウィッグで練習を重ねました。実は僕、すごく不器用なんです。なので、他の人の何倍も練習しましたね」 「直感よりも理論的思考タイプ。技術を身につけるには、頭の中でカットの展開図が引けるくらいまで練習をするしかなかったんです。ここまでやったおかげで、『毛先のここを軽くしているので、こう巻くといい』というようにお客さまに理論的な説明ができるようになりました」 ―たくさんの努力で技術をものにされたんですね。長い間練習を続けてこられたモチベーションはなんでしょうか? 「負けず嫌いなんです。むしろ、それしかないです。勉強してみてわかったんですが、レイヤーって、入ることで髪がとても扱いやすくなるんです。多毛も癖っ毛も、動かすだけでおしゃれに見える。レイヤーを入れた方が生活が豊かになる人は多いはず、だから絶対に技術をものにしたいと思いました」 早瀬さんのレイヤースタイルコレクション 経営者として目指すのは“技術のスペシャリスト集団” ―早瀬さんは現在、お店の代表をされていますよね。後輩へはどんな指導をされているんでしょうか? 「はじめのうちは、ひとつ得意なことを伸ばすための努力をしていこうねと伝えています。つまり、それぞれのスタッフが極めたスキルを持っている、そんな『技術のスペシャリスト集団』を目指しているんです」 ―誰かが極めた技術や上達のコツを他の方に教えていってというのができるから、全体のスキルアップが早そうです。早瀬さんが編み出されたレイヤーカットのコツなんかもスタッフの方に伝授されているんでしょうか? 「もちろんです!新人の子がやっても上手くできる確実なカットの仕方や僕なりのノウハウはあるんです。でもここでは秘密にさせてください(笑)。ハサミは、僕は早く切りたいので長いものをよく使いますね」 ―なるほど。最後にこれからの目標を教えてください。 「レイヤーカットを推さなくなった。わけではないのですが、メンズカットに一層力をいれていきたいと思っています。街で見かけて『おしゃれな子だな~』と思うのって、女の子がほとんどじゃないですか。それを変えたい、おしゃれな男の子のスタイルを提案していきたいです」 KIPI代表 早瀬 忍 関西美容専門学校を卒業後、東京・表参道のサロンに新卒入社。その後、フリーランスを経て2020年に「KIPI」を立ち上げ。現在は育児にも奮闘中! Instagram : @hayaseshinobu <SALON DATA> KIPI/キピ 大阪市北区豊崎3-14-5 Instagram : @kipi_official_osaka