MY RULE【Zui+LIM 仙頭郁弥さん】ショートカットが教えてくれた、遊びと技術の両立
あなたの得意なテクニックは?多様性の時代だからこそ、いつでもその答えを用意しておきたいもの。 今回は、ショートヘアが得意だと言うZui+LIM オーナー・スタイリストの仙頭郁弥さんを訪ねました。得意になったきっかけやこだわり、技術の伸ばし方、活かし方までを伺います。 挫折がきっかけになり、いつの間にか強みになった ーショートに自信あり!という仙頭さんですが、具体的にはどんなデザインが得意ですか? 「以前はマッシュショートばかりを推していましたが、今はライン感のあるカットデザインやレイヤーの効いたスタイルなど、ショートなら何でも切れると言っても過言ではありません」 ーすごい!ショートを極めるに至ったきっかけは? 「僕、アシスタント時代は熱量のあるタイプじゃなかったんです。デビューしたらなんとかなるかという変な自信があって。すると、スタイリストデビュー前のテストの時にその甘えが出てしまった。ショートだけがどうしても合格できなかったんです」 「そこから、真剣になりました。ショートの上手な先輩のマネをして、とにかくショートを繰り返しカットしていくうちに、今の強みになっていったという感じです」 ーそうだったんですね。スタイリストになってからは順調だったんでしょうか? 「(スタイリスト)デビューしたらお客さんは勝手につくもんだと思っていたんです。それも全然ダメで。美容師っておもしろかったらいいというか、キャラでいけると思っていたところがあったんです。スタイリスト1年目は伸びなくて…そこでようやく、美容師は技術ありきなんだなと痛感させられました」 ーそれからはどのように技術を磨かれたんでしょう? 「はじめは同じショートしかできなかったんです。マッシュショートばかりをSNSにも載せていました。でもショートが得意と言っていると、いろんな『ショートにしたい』お客さんがやって来て。いろんな要望に応えていくうちに、いろんなショートができるようになったんです。リピートのショートのお客さんなら、次は違うショートに変えていきたくもなるし…。お客さんが技術を磨いてくれた感じというか。ビビりながら、新しい提案をしていくうちに今に至っています」 以前はマッシュショートを推していた GOとSTOPの繰り返し。だからショートはおもしろい!? ーずばり、ショートヘアの好きなところは? 「切ってる時が楽しいです。ウェイトの高さだったりエリアシの長さや作り方…こだわりを詰められるポイントがいっぱいあるんです。短いからこそいっぱいできるというか」 ースタイルづくりで大切にしていることは? 「どう動いてもかわいいという状態をテーマにしています。アイロンは極力使わなくていいスタイルだったり、生えグセに逆らわない、クセを活かしたスタイル。例えば前髪が浮く人ならパーマをかけて動きのあるスタイルに。絶壁の人なら、トップを短くしてエリアシにボリュームのあるウルフっぽいスタイルに持っていくとか。ウルフならペタッとしている方がかわいかったりするんですよ」 ーところで仙頭さんといえば、麻雀美容師という一面もあるそうですが…。 「そうなんです。1年前にハマってしまって。ちょうど新しいお店の2階がまだ空いていたので雀卓を置き、定期的に麻雀教室をしています」 ー麻雀の魅力って何ですか? 「まず牌を触ってるのが気持ちいいです。手遊び的な感じですね。それに、ゲームは選択の繰り返しなんです。自分の選択がハマったときは怖いほどおもしろい。ヘアに対する押し引きを麻雀で学んでいると言ってもいいです。攻めるか、留まるか。GOかSTOPか。麻雀は人生の縮図、ひいてはスタイルの縮図かもしれません」 ーこれからの展望はありますか? 「ショートって、攻めの要素を揉み込みやすいスタイルなんです。これからはその経験を活かしつつもショートだけにこだわらず、見たことないバランスや『新しいデザイン』をやっていきたいですね。先頭を走っていきたいです。仙頭だけに」 Zui+LIM オーナー・スタイリスト 仙頭郁弥 1992年生まれ、高知県出身。国際デザイン・ビューティーカレッジ卒業後、『LIM』入社。2023年11月、中堂薗さんと森田さんとの共同経営にて『Zui+LIM』をオープン。 Instagram : @sento_zuiya <SALON DATA> Zui+LIM/ズイプラスリム 京都市東山区大国町通松原下ル北御門町257 https://www.lessismore.co.jp/zui/ Instagram : @zui_kyoto
まえがみ美容室に聞く!家族経営のイマ
美容師の働き方も去ることながら、ヘアサロンのあり方も多種多様な今。全国展開するサロンがあれば、ひとりオーナーのサロンもあります。 そこで今回は、「家族経営」というカタチに注目。和歌山市にある『まえがみ美容室』さんを直撃しました。 まえがみ美容室 和歌山県和歌山市四番丁48 tell : 073-426-1233 Instagram : @maegami_natsukopanda ▼お話を聞いたのはこの人! オーナー なつこパンダさん Q. 現在の店舗数、従業員数を教えてください。 A. ヘアサロンが1店舗で、離れにネイルサロン『うしろがみ美容室』があります。従業員は3人。私と夫のマーキーがスタイリストで、義妹みっちゃむがネイリスト、いわゆる家族経営サロンです。他に着付けができるパートさんが1人、手伝ってくれています。 Q. 『うしろがみ美容室』はどんなネイルサロンですか? A. 10年以上うちで美容師として働いてくれているみっちゃむが、自身のステップアップのためにネイルを始めたいと言い出したのがきっかけで、2年前に実現したサロンです。デザイン特化型ネイルで、和歌山にはあまり見ないような、うちらしいデザインがかわいいです。彼女はネイルの予約が入っていない時は美容師をしています。 Q. スタッフへの教育、スキルアップとして取り入れているシステムは? A. みんなクリエイティブ活動が大好きなので、チームまえがみとして年2回のフォトコンテストに参加しています。その他にも撮影は定期的にしていますし、講習会や練習はみんな自主的にやっています。小さなサロンだからこそ、勉強しないとそこで終わってしまうので。 Q. 家族経営だからこそ大切にしていることや実践していることはありますか? A. 「なあなあにならないこと」です。オーナーとして、いい意味で家族に甘えない。私たちは3人なので、お店のことは2人で話さない。情報共有は必ず3人で行うというのを徹底しています。これはマーキーからの提案だったんですが、私と誰かだけで情報共有することはハラスメントになり得るという考え方です。逆に、家族なので気になることは必ず言う、みんなで解決していく場を設けています。 Q. 新しく採用の予定はありますか? A. 今までは新しいスタッフは採っていなかったんですが、実は最近お店の移転の話も出ていて。いずれ一軒家サロンにしたいということもあり、新卒の子をお迎えしてもいいかもという気持ちになっています。でも、あくまで積極的にというわけではなくて。ご縁だとも思うので、その時は自然にやってくるのかなとのんびり考えています。 Q. オーナーとして、社員への考え方は? A. 私、経営者がよく言う「使える」「使えない」という表現が苦手なんです。今いるスタッフももちろんそうですし、新人さんも、同じ人。まずは人として、誠実に接したいなと思います。 Q. 新入社員が入ったらどんな風に働いてほしいですか? A. 私の時代は、美容師って人生をかけた職業だったんですが、今はいろんな考え方があるのが事実。もし新しいスタッフが入ったら、礼儀や人として大切な考え方は学んでもらいつつ、小さなサロンらしい自由さを感じてもらえるアットホームな場を目指したいです。 Q. まえがみ美容室が大切にしていることは? A. 今『うしろがみ美容室』でネイルをしているみっちゃむはメイクも得意で、ネイルを始める前からメイクもしてもらっていました。そうやって、人それぞれの「やりたい」に寄り添うサロンでありたいなと思います。美容師は長い道のり。カッターとしてだけではなく、違う道へ進みたかったりと気持ちが変わってくることもあるはずです。それはそれで楽しく受け入れ、ひとりの個性として伸ばすのがウチらしいのかなって思います。 以上、和歌山市の『まえがみ美容室』よりお届けしました。 小さなサロンらしい良さを活かしながら、時代に合わせた等身大の考え方やオーナーさんの実直な姿勢が印象的でした。これから美容師になりたいと考えている人も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
MY RULE【KIPI 早瀬 忍さん】逆張りではじめたレイヤーを極めてわかったこと
自分らしさってなんだろう。多様性のこの時代をサバイブするための、個性の見つけ方やスキルの磨き方術を伺います。 今回は、KIPI代表の早瀬 忍さん。レイヤースタイルの代名詞であるウルフを、流行する前に推そうと決めたきっかけや、そこから今につながっていることを聞きました。 ウルフを習得するまで重ねた努力はそこ知れず ―単刀直入に、早瀬さんといえばウルフカットというイメージがあるのですが、ご自身としてはいかがでしょうか? 「今はめちゃくちゃ推しているわけではないのですが…(笑)、ブームになる前からウルフカットに力をいれていたのは事実です。というのも数年前に切りっぱなしボブが大流行した時代があったんです。日本中の女の子がそのスタイル。正直つまらないなって思いました。そこで逆張りで、ウルフといったレイヤーカットの練習をはじめたんです」 ―つまり、誰もやってないということですよね。どのようにスタイルを勉強したんでしょうか? 「カットの基礎的なことは当時働いていたサロンで教わったんですが、いいなと思うスタイルは海外のモード誌やファッションショーなどを見て、どう再現するんだろうってウィッグで練習を重ねました。実は僕、すごく不器用なんです。なので、他の人の何倍も練習しましたね」 「直感よりも理論的思考タイプ。技術を身につけるには、頭の中でカットの展開図が引けるくらいまで練習をするしかなかったんです。ここまでやったおかげで、『毛先のここを軽くしているので、こう巻くといい』というようにお客さまに理論的な説明ができるようになりました」 ―たくさんの努力で技術をものにされたんですね。長い間練習を続けてこられたモチベーションはなんでしょうか? 「負けず嫌いなんです。むしろ、それしかないです。勉強してみてわかったんですが、レイヤーって、入ることで髪がとても扱いやすくなるんです。多毛も癖っ毛も、動かすだけでおしゃれに見える。レイヤーを入れた方が生活が豊かになる人は多いはず、だから絶対に技術をものにしたいと思いました」 早瀬さんのレイヤースタイルコレクション 経営者として目指すのは“技術のスペシャリスト集団” ―早瀬さんは現在、お店の代表をされていますよね。後輩へはどんな指導をされているんでしょうか? 「はじめのうちは、ひとつ得意なことを伸ばすための努力をしていこうねと伝えています。つまり、それぞれのスタッフが極めたスキルを持っている、そんな『技術のスペシャリスト集団』を目指しているんです」 ―誰かが極めた技術や上達のコツを他の方に教えていってというのができるから、全体のスキルアップが早そうです。早瀬さんが編み出されたレイヤーカットのコツなんかもスタッフの方に伝授されているんでしょうか? 「もちろんです!新人の子がやっても上手くできる確実なカットの仕方や僕なりのノウハウはあるんです。でもここでは秘密にさせてください(笑)。ハサミは、僕は早く切りたいので長いものをよく使いますね」 ―なるほど。最後にこれからの目標を教えてください。 「レイヤーカットを推さなくなった。わけではないのですが、メンズカットに一層力をいれていきたいと思っています。街で見かけて『おしゃれな子だな~』と思うのって、女の子がほとんどじゃないですか。それを変えたい、おしゃれな男の子のスタイルを提案していきたいです」 KIPI代表 早瀬 忍 関西美容専門学校を卒業後、東京・表参道のサロンに新卒入社。その後、フリーランスを経て2020年に「KIPI」を立ち上げ。現在は育児にも奮闘中! Instagram : @hayaseshinobu <SALON DATA> KIPI/キピ 大阪市北区豊崎3-14-5 Instagram : @kipi_official_osaka
New sense 新しい美容師の働き方【雨とランプ編】
美容師も多様化の時代。 働き方やヘアサロンのスタイルはもちろん、経歴もさまざまな美容師さんが存在します。 今回出会ったのは、短歌の歌人である久石ソナさん。北海道・札幌市で活躍しており、空前のブームと言われて久しい短歌界でも、早くから活躍しているひとりです。 美容師であり歌人、そんな久石さんにお話を聞いてみました。 (上)苫小牧で行われたアート展での作品(下)出版書籍 はじめたのは短歌が先 「もともと文学が好きで、大学時代に短歌サークル『早稲田短歌会』に入会したんです。31音なので、自分が感じたものを気軽に歌にのせられるという身近さが気に入って、どんどん短歌の魅力にはまっていきました」 「僕、実家が美容室なんです。本当は美容師じゃない職業につきたくて大学に進学したんですが、いざ就職となって結局自分がやりたい仕事は何かって考えると、お客さんをキレイにしてまた会えるという、『継続して会える人がいる生活の場所』に魅力を感じて。早稲田短歌会で2年ほど活動したのち、自分にとって身近にあった美容師というの職に就こうと決意しました」 自然とダブルワークスタイルに 「専門学校時代も、北海道大学の短歌会立ち上げに携わるなど、短歌の活動を続けていました。短歌会はリアルなリアクションがもらえる場で、第三者として読解力を鍛えたり、表現の幅を広げる良い機会。美容師も短歌も、練習あるのみなんです」 「美容学校卒業後は都内サロンでの勤務を経て、2019年に地元の札幌で『雨とランプ』をオープンしました。2021年には2号店『凪の旅先』2023年にアイラッシュのお店『窓と彗星』、3店舗を経営しています」 美容師と短歌の相乗効果 「短歌の経験は、カウンセリングやお客さまとのコミュニケーションに活かされていると感じています。それに、僕は集中するというよりは、わりと目うつりしちゃうタイプ。美容師と短歌の活動って近いようで遠いような感覚があって。短歌も美容も、『ひとつの人生においていろんなことに挑戦できる』という環境は共通していて、自分にとっては合っているのかなと思います」 「東京で働いているときは、二本でやっているというスタイルはなかなか理解を得られなかったんです。それでも今まで続けて来れたのは、美容師は来た人に幸せになってもらう、手の届く範囲にダイレクトに影響を与える仕事。短歌は、本が届いて読んだ相手=自分の視界に入っていない読者にアプローチするもの。それぞれ違った喜びを感じられるというのが、続けてこれた一番の理由だと思います」 歌人ならではのサロンづくり 「お店に2000冊の書籍を置いています。美容室に来て美容師さんとお話する、雑誌を読むという過ごし方以外の選択肢があればなと。他にも壁画や水墨画などのアートを置いたり…僕自身、美容室が苦手だったというのもあり、ここが自分の時間になったり、自分らしく過ごせる場所になったらいいなと思っています。『美容室は心をキレイにできる場所』というのを、もっともっと広げていきたいですね」 「美容室では、月3~4回生演奏のBGM営業というのを行っていて、継続していきたいと思っています。アートや芸術を通して美をつくる場所になればといいなと。短歌では、札幌で歌会(短歌を持ち寄って評をする)を主催していますが、今後は北海道の短歌シーンを盛り上げるべく、場を作っていきたいなと思っています。熱量があるけどまだまだ知れ渡っていないので…!」 好きなことはふたつあっていい。自分の“好き”を尊重し、追求すれば、それぞれがプラスの力を発揮し新しい道が開かれるということを、久石さんは教えてくれています。 久石ソナ(大塚卓人) 1991年札幌市生まれ。都内大学中退後、北海道の美容専門学校へ進む。卒業後、都内サロンで5年勤務したのち、28歳で地元へ戻り「雨とランプ」をオープン。 X : @sona_hisa Instagram : @sonahisaishi <SALON DATA> 雨とランプ HP : https://ametolamp.com/ X : @ametolamp Instagram : @ametolamp <BOOK NOW ON SALE> 『サウンドスケープに飛び乗って』 ¥1870(書肆侃侃房)2021年 ★プレゼント★ 久石ソナさんの代表書籍『サウンドスケープに飛び乗って』を、抽選で3名さまにプレゼントします。 (応募期限:2024年7月20日迄) >> ご応募はコチラから ※ご応募には、事前にAM-YU公式アプリをダウンロードいただき、アカウント登録をお済ませください。 >>App Storeからダウンロード >>Google Playからダウンロード 【注意事項】 ※当選の発表は、ご当選者様のみにご連絡いたします。 ※応募された個人情報を第三者に提供したり、本企画遂行以外の目的に利用することはありません。 ※AM-YUプライバシーポリシーについてはこちらをご覧下さい。 https://am-yu.jp/guides/privacy