「美容師はハッピーな仕事」。OLTAのFumiyaさんに聞く、競争社会・東京で楽しく働くには?【中編】
『OLTA』 スタイリストの Fumiyaさんに、東京で働くおもしろさと難しさをインタビュー。 今回の【中編】では、アシスタント時代のエピソードをうかがいます。「 アシスタントをするのが美容師の仕事じゃない」という言葉を胸に、いかに効率よく修行期間を抜けるかを意識していたのだとか……。 入社2年目で社歴トップに!? 超多忙な日々を乗り越えた方法は —ここからはアシスタント時代のことを振り返っていきましょう。やっぱり、苦労はつきものですよね……。 「う〜ん、どうだろう。『OLTA』は先輩も優しかったですし、体育会系で厳しいとかも一切なくて。あっ、思い出しました。入社2年目で、ぼくが一番社歴が長いスタッフになったことですね。先輩方の独立が重なっちゃって。もちろん円満な退社だったんですけど、一気に先輩が4人も抜けたことでオーナーとぼくとアシスタントの3人でお店を回さないといけなくなったときはもう大変でした」 —それは大変!どうやって乗り越えたんでしょうか。 「常々、「 アシスタントをするのが美容師の仕事じゃない」というのは思っていて。なので、いかにこの修行期間を早く抜けるかを意識していましたね。 例えば、朝の通勤中に「今日は絶対ここをクリアしよう」って、その日のやることを頭の中で決めるんです。1日ひとつ目標を立てて、1週間、1ヶ月と積み重ねていく。そうやってデビューまでの工程を逆算して考えるんです。すると、今やるべきことがわかってくる。アシスタント業務だけに忙殺されないように行動する、というのを大事にしていました」 —中学生から鍛えてきた考えて行動する力がここでも役に立つんですね。では、『OLTA』ならではの悩みはあったんですか? 「うちは自分でやる気スイッチを押さないといけないんです。温かくて自由な社風ゆえに、誰かにお尻を叩かれるようなことはありません。サボろうと思えば落ちこぼれるまでサボれるし、そこも自分次第なところがある意味厳しいところですよね。ぼくはONとOFFを切り替えて、メリハリをつけることでだれずに乗り切りました」 「あとは、一緒に悩む同期がいないことは少し寂しかったです。でもその分、他のサロンで働く同世代美容師とのコミュニティは広がりました。「カラー剤、何使ってるの?」とレシピを聞けたり、気軽に技術的な相談ができる友人の存在は今でもとても心強いです!」 —なるほど。夏休みの宿題を最後まで残すタイプのわたしには耳が痛いです(笑)。 同年代の友人たちと。 アシスタントは自分の「好き」をコツコツ磨く時間 —さて、Fumiyaさんは今入社6年目ということで、後輩の育成もされているかと思いますが、どんなことを伝えられているんでしょうか。 「自分が信じられるものを見つけてほしいなって思います。例えば、SNSを毎日やるとかモデルハントをするとか写真の腕を磨くとかでいいんです」 「ぼくはモデハンがあまり得意じゃなくて。じゃあどうやって、ぼくやお店を知ってもらえるのか?と考えたときに、昔から好きだったファッションを売りにしようと思いました。SNSで私服の写真をアップしたり。雑誌のスナップ企画に呼ばれて、その写真を見たお客さんがアシスタントのぼくに会いにきてくれたときは、すごくうれしかったです。そんな風にずっと大切にできる強みをこの修行期間に見つけてコツコツ磨くことが大事だよ、という話を後輩にはよくしていますね」 学生時代のひとり旅で培った多角的な視点や考えて行動する力やファッションが好きということが、社会人となったアシスタント時代にも役に立ったというFumiyaさん。 【後編】では、東京で働くことのおもしろさやこれからの夢を聞いていきます。 <PROFILE> OLTA スタイリスト Fumiya Minamiさん 1998年生まれ。茨城県出身。国際理容美容専門学校を卒業後、新卒で『OLTA』入社。約3年半のアシスタントを経てスタイリストデビュー。趣味はフットサル。「ぼくのお客さん同士も仲が良くて、みんなで集まってフットサルをしています。お客さんと友達になれる距離感がOLTAらしさだと思いますね」 Instagram : @olta_fumiya <SALON DATA> OLTA/オルタ 東京都渋谷区神宮前4-28-17 ポルテボヌール原宿3F HP : https://www.oltahair.com Instagram : @oltanonichijo
「美容師はハッピーな仕事」。OLTAのFumiyaさんに聞く、競争社会・東京で楽しく働くには?【前編】
ヘアサロン数は9000店以上と熾烈な厳しさもある一方で、ファッションやカルチャーのトレンド発信基地として刺激的の絶えない場所でもある東京。 そんな東京で働くことのおもしろさや難しさを、『OLTA』 スタイリストの Fumiyaさんにうかがいました。 「美容室はどうも緊張しちゃって、昔は全然好きじゃなかったんですよね……」と感じていたのに、なぜ美容師を志すことにしたのか。いまや美容師は天職だというFumiyaさんのお話を通して、競争社会・東京でのサバイブ術を探っていきましょう。 正直、美容室は苦手でした…… —まず、美容師になろうと思ったきっかけを教えてください。 「実は子どもの頃から美容室が好きじゃなかったんですよね……なんだか緊張しちゃうじゃないですか?だから、美容師さんに良くしてもらったからとか、憧れの方がいてみたいな理由ではないんですよ」 —えぇっ!? そこから何があったのか気になります。 「高校生のときに、将来どんなことをやりたいか考えたんです。自分の関わるもので感動を届けたい。人と話すのが好き。人の役に立てて、かつそれが間近で見られるお仕事がいいなとかって。これに当てはまる仕事を洗い出したら、〈保育士〉と〈建築家〉と〈デザイナー〉と〈アパレルスタッフ〉と〈美容師〉でした」 高校生時代のFumiyaさん。 「決め手となったのは、お客さんとの関係性です。保育士さんは子どもが卒業したら、そこで関係は切れちゃうじゃないですか。美容師は大人と大人の関係だから、ひとりのお客さんの人生に長く寄り添うことができる。あとは、デザインやファッションに近いというところもポイントでしたね」 —職業の要素を細分化して決めるってすごくおもしろい視点だと思います。そういう思考はどこで培ったものなんでしょうか? 「たぶん、ひとり旅をよくしていたからだと思います。中学生の頃からひとりで各地を旅行していて。当時はスマホなんてないから現地でパッと調べることもできないし、そもそも家族も心配するから、どこそこに行って何時の電車に乗って、いくらお金がかかって……といった具合に、さまざまな観点から旅行計画をしっかり立てていたんです。この経験からものごとを多角的に見ること、自分で考えて行動することが鍛えられました」 苦手意識を変えた『OLTA』のホスピタリティ —原宿・表参道エリアで働かれているスタッフさんに出身校を聞くと、「日美(※日本美容専門学校の愛称)」ということが多いのですが、Fumiyaさんはそうではないんですよね? 驚きました。 「そうなんです。それこそ東京っぽい、キラキラしたようなところに抵抗があって、憧れはあったんですけどね……(笑)。校則も厳しくて、言葉遣いといった礼儀からちゃんと教えてくれるここなら2年間、真面目に通えそうだなと国際理容美容専門学校に入学しました」 美容学生時代。 —入学してからはどうでしたか、大変だったことはありますか? 「就職活動のために、サロン巡りをするわけですが、校則で染髪が禁止されていたんですよね。だからカットしかできなくて。でも、それじゃあ技術とか、正直わかんないじゃないですか。だから直感です。お店を出た瞬間に「『OLTA』で働きたいな」って、人柄で決めました」 「実は、専門学校に通いながらもまだ美容室への苦手意識はあって……。それでもがんばっていろんなサロンを回っていたのですが、『OLTA』ほど接客が温かく心地よいところはありませんでした。スタッフもアシスタントもみんながお客さんに話しかけてくれるので、緊張せず楽しい時間を過ごすことができたんです!あと驚いたのはお見送りの距離感。たいてい扉までってところが多いと思うんですけど、お客さんの帰り道まで一緒に歩いていく。なんなら盛り上がったらその場で立ち話までして。そのお客さんとの友だちになれる距離感が自分の目指す美容師像だと惹かれましたね」 オーナーの後藤さん(左から2人目)と。 前例のない就職活動。「ここで働きたい」という覚悟が通じた —そして『OLTA』を目指されるわけですが、就職活動は順調でした? 「いやぁ……なかなか大変でした。入学してからわかったのですが、国際(理容美容専門学校)の生徒のほとんどは、全国展開する大手サロンだったり、地元での就職をモチベーションにしているんです。だから「『OLTA』を受けます!」と先生に言ったら「どこそれ、大丈夫なの?」と心配されたりもしました」 「また『OLTA』は毎年、ひとりしか新卒を採用していません。学校にも頼れないし手探りで進むしかない状況。だからずっと通っていたわけでもないぼくが……と不安になることもありましたが、最後は「ここで働けないなら美容師にはならない」という覚悟が伝わったからだと思います」 —「『OLTA』で働けないなら美容師をしていない」というのはどういうことなんでしょう……? 「高校生の頃から入念に将来を見据え、選び進んできたので、自分が満足できないところで働くなんて無理だなと。とりあえず、で『OLTA』以外のどこかで美容師をしていく選択肢はぼくにはありません、というのは最初からしっかりお話していましたね」 —Fumiyaさんは他の同級生たちとは違うマインドだったと先ほどうかがいましたが、専門学校時代のクラスメイトとの仲はいかがだったんでしょうか。 「そんなわけで、モチベーションが違っていたこともあり同じ専門学生時代の友人はいないんです……。ただ、『OLTA』の最終面接に残った他の子たちとは今でも交流が続いています。またアシスタント時代の苦楽を励まし合ったのは、専門学校帰りに寄った古着屋で出会った他校の学生たちでした。たとえ学校に友だちがいなくても、出会いや繋がれる場所がたくさんあって、信頼できる友だちをつくることができる。これも東京で美容師をする醍醐味だと思います」 当時からよく通う池ノ上の古着屋さんの店主・稲葉さんとは今も仲良し。 美容室が苦手だったはずなのに……明るい気持ちで美容師の道を歩みはじめたFumiyaさん。【中編】では、アシスタント時代にぶつかった苦労や悩みをお話しいただきました。 <PROFILE> OLTA スタイリスト Fumiya Minamiさん 1998年生まれ。茨城県出身。国際理容美容専門学校を卒業後、新卒で『OLTA』入社。約3年半のアシスタントを経てスタイリストデビュー。趣味はフットサル。「ぼくのお客さん同士も仲が良くて、みんなで集まってフットサルをしています。お客さんと友達になれる距離感がOLTAらしさだと思いますね」 Instagram : @olta_fumiya <SALON DATA> OLTA/オルタ 東京都渋谷区神宮前4-28-17 ポルテボヌール原宿3F HP : https://www.oltahair.com Instagram : @oltanonichijo