t.a.g 仲地さんの美容道
「あなたらしさって何ですか?」 この問いに、あなたはすぐ答えられますか?その人が得意とするテクニックを切り口に、美容師というお仕事をするうえで大切にしていることやポリシーを紐解き、自分らしさを磨くためのノウハウや考え方をお伺いします。 今回は、カラーに特化したヘアサロン『t.a.g』のオーナーである仲地龍太さんです。 >> 動画はコチラ ー仲地さんが美容師を目指したきっかけは? 「きっかけは、高校生の時に担当してもらった美容師さんがかっこよかったっていうシンプルな理由です。その美容室に入店した時、荷物を預かってくれるというサービスが初めてだったので感動して。それで美容師になろうと思いました」 ー特殊な経歴をお持ちとお聞きしましたが…。 「そうなんです。実は左官業をしていたことがあります。あのコンクリートを滑らかにする建設業の…」 ーなかなかそんな過去をお持ちの美容師さんはいないですよね! 「高校生の時、大学に進学したかったんですが、兄弟が5人いるので経済的に難しくて。もちろん美容学校もダメ。それなら美容学校なら通信制があるので働きながら通えるなと思い、左官業をして働いてお金を貯め入学し、サロンに就職して働きながら学校へ通いました」 ー今回はダブルカラー+エンドカラーというデザイン性の高い施術を実際に披露していただきました。仲地さん的ポイントは? 「ブリーチですね。モデルさんがすでにブリーチ毛で、根元の方が黒くなっているのでまず先にレタッチ。体温の影響で地肌に近いところがすごい明るくなりやすいんですが、根元1cm、 2cm~3cm、3cm以降と段階的に明るくなりやすいので、それを計算しながら塗り分けていくのが、一番時間がかかるところでした」 ー仲地さんはインスタグラムでも「ハイライトの神」と自らを表現されていますが、今回のようなダブルカラーやハイトーンカラーが得意なのでしょうか? 「t.a.gはカラーに特化したヘアサロン。僕はハイライトを売りにしていて、他のスタッフもバレイヤージュやミルクティベージュ、ルーツカラー、派手髪などそれぞれの売りのテクニックを持っています」 ーそうなんですね!仲地さんがハイライトを売りにしたきっかけは何だったんでしょう? 「当時ハイライトが流行っていて、どこかの美容師さんが載せてるハイライトがすごい好きだったんです。それをできるようになりたいなって、職場のみんなで研究していたんです。僕自身はそこまでガチでやろうとは思ってなかったんですけど、スタッフがやってほしいですと言うので、じゃあちょっとやってみようと思ってやってみたら、できるようになったという感じです」 ースタッフのリクエストに応えてやりはじめたと。 「そうですね(笑)」 ーハイライトもそうですし、今回のようなハイトーンやデザインカラーの時に気をつけていることはありますか? 「まずはダメージを極力少なくすることです。ブリーチやカラーをする以上、ダメージは絶対あるんですが、それをいかに減らせるかです。そのためにケア剤も導入しますし、塗り分けが大切になってきます」 ー他には…? 「似合うか似合わないかを、必ずお伝えするようにしてます」 ーなるほど!似合わない時ははっきり言いますか? 「はっきりとは言わないです(笑)。僕はまずはお客さまがやりたいことを受け入れたいです。その上で、他の方の例をあげてリスクを提示したり別の提案をして、最終的に納得のいくゴールを見つけていきます。なのでカウンセリングは長い方だと1時間かけることもあります」 ーカウンセリングに1時間ですか!すごい。 「やりたいカラーを今の髪にするとどんなリスクがあるかということだったり。それに、ハイライトって人によると白髪みたいに見えてしまう場合もあるんです。なのでその人の友人関係やキャラクターを考慮したうえで、このカラーにしたらどう突っ込まれるか…なんてこともイメージしながら決めていきます。もちろん、その人が帰った後にできるスタイルになるようにしています」 ー仲地さんがカラースタイルを極めていく中で、ともに磨かれたスキルはあったりしますか? 「観察力ですかね…?お客さまの髪やファッションはもちろん、話していくとニュアンスでこれはやりたくないだろうなとか、いいですよって言ってるけど、そこに含まれているわだかまりがある感じを察するようになったというか」 ーずばり、仲地さんの美容師としてのポリシーって何でしょうか? 「ダサいこと。人間鈍臭いところがあってもいいって思うし、失敗したことを隠さず素直に伝えることが大事だと思います。カラーってなかなか思っているように出ないこともあるんです。その時に、『めっちゃいいです!』なんて言わないです。正直に伝えて、お直しも提案させていただきます」 ー落ち込んだりイラッとした時はどう乗り越えていますか? 「イラッとしたときの考え方があって。基本的に人を嫌いになるのは、自分が育ってきた環境で大切にしていることを侵されるからなんです。だから他人の考え方や育ってきた環境が違うと理解したら、自分がイラッとしているだけで、その人は悪くないんだと思えるようになるんです」 ーすばらしい考え方ですね!ちなみに、SNSはどのように活用していますか? 「SNSは信頼度UPのためです。今はスタイルをほぼ載せず、僕の考え方やどういうふうなプロセスでお客さまに寄り添っていくかというカウンセリングのしかたなど、スタイルをつくる上で大切にしていることを乗せるようにしています」 ーちなみにInstagramに載せてらっしゃるゴリライトというのは!? 「僕ゴリラって呼ばれてたので、自分がつくるコントラストがついた立体的なカラーのことをそう命名しました(笑)」 華やかなデザインカラーを作り出す仲地さん。話すととても気さくで、柔らかな人柄にギャップがある、美容師としても人としても魅力的な方でした。テクニカルなカラーの裏には、経験で培った成功術が隠されている。そんなことに気づかされました。 仲地龍太 t.a.g オーナー Instagram : @t.a.g_ryuta tiktok : @ryuta0610 経歴 : 高校卒業後、左官業をしながら資金を貯め、大阪美容専門学校(通信制)へ入学。同時に某サロンへ入社。スタイリストデビューしたのち別サロンを経て独立し、『t.a.g』を共同経営としてオープンさせる。 <SALON DATA> t.a.g/タグ HP : https://tag-osaka.com Instagram : @t.a.g_color_hair