まえがみ美容室に聞く!家族経営のイマ
美容師の働き方も去ることながら、ヘアサロンのあり方も多種多様な今。全国展開するサロンがあれば、ひとりオーナーのサロンもあります。 そこで今回は、「家族経営」というカタチに注目。和歌山市にある『まえがみ美容室』さんを直撃しました。 まえがみ美容室 和歌山県和歌山市四番丁48 tell : 073-426-1233 Instagram : @maegami_natsukopanda ▼お話を聞いたのはこの人! オーナー なつこパンダさん Q. 現在の店舗数、従業員数を教えてください。 A. ヘアサロンが1店舗で、離れにネイルサロン『うしろがみ美容室』があります。従業員は3人。私と夫のマーキーがスタイリストで、義妹みっちゃむがネイリスト、いわゆる家族経営サロンです。他に着付けができるパートさんが1人、手伝ってくれています。 Q. 『うしろがみ美容室』はどんなネイルサロンですか? A. 10年以上うちで美容師として働いてくれているみっちゃむが、自身のステップアップのためにネイルを始めたいと言い出したのがきっかけで、2年前に実現したサロンです。デザイン特化型ネイルで、和歌山にはあまり見ないような、うちらしいデザインがかわいいです。彼女はネイルの予約が入っていない時は美容師をしています。 Q. スタッフへの教育、スキルアップとして取り入れているシステムは? A. みんなクリエイティブ活動が大好きなので、チームまえがみとして年2回のフォトコンテストに参加しています。その他にも撮影は定期的にしていますし、講習会や練習はみんな自主的にやっています。小さなサロンだからこそ、勉強しないとそこで終わってしまうので。 Q. 家族経営だからこそ大切にしていることや実践していることはありますか? A. 「なあなあにならないこと」です。オーナーとして、いい意味で家族に甘えない。私たちは3人なので、お店のことは2人で話さない。情報共有は必ず3人で行うというのを徹底しています。これはマーキーからの提案だったんですが、私と誰かだけで情報共有することはハラスメントになり得るという考え方です。逆に、家族なので気になることは必ず言う、みんなで解決していく場を設けています。 Q. 新しく採用の予定はありますか? A. 今までは新しいスタッフは採っていなかったんですが、実は最近お店の移転の話も出ていて。いずれ一軒家サロンにしたいということもあり、新卒の子をお迎えしてもいいかもという気持ちになっています。でも、あくまで積極的にというわけではなくて。ご縁だとも思うので、その時は自然にやってくるのかなとのんびり考えています。 Q. オーナーとして、社員への考え方は? A. 私、経営者がよく言う「使える」「使えない」という表現が苦手なんです。今いるスタッフももちろんそうですし、新人さんも、同じ人。まずは人として、誠実に接したいなと思います。 Q. 新入社員が入ったらどんな風に働いてほしいですか? A. 私の時代は、美容師って人生をかけた職業だったんですが、今はいろんな考え方があるのが事実。もし新しいスタッフが入ったら、礼儀や人として大切な考え方は学んでもらいつつ、小さなサロンらしい自由さを感じてもらえるアットホームな場を目指したいです。 Q. まえがみ美容室が大切にしていることは? A. 今『うしろがみ美容室』でネイルをしているみっちゃむはメイクも得意で、ネイルを始める前からメイクもしてもらっていました。そうやって、人それぞれの「やりたい」に寄り添うサロンでありたいなと思います。美容師は長い道のり。カッターとしてだけではなく、違う道へ進みたかったりと気持ちが変わってくることもあるはずです。それはそれで楽しく受け入れ、ひとりの個性として伸ばすのがウチらしいのかなって思います。 以上、和歌山市の『まえがみ美容室』よりお届けしました。 小さなサロンらしい良さを活かしながら、時代に合わせた等身大の考え方やオーナーさんの実直な姿勢が印象的でした。これから美容師になりたいと考えている人も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
大阪・北加賀屋の新サロン『DOUBLE M』の的場ご夫妻を直撃④
スタイリスト歴16年の美容師と元ウェディングプランナーの的場さんご夫妻が営む『DOUBLE M』は、2023年2月に大阪・北加賀屋にオープンしたばかりの新サロン。サロンの特徴、開業準備、役割分担、今後の目標など、お二人のリアルなエピソードを全4回にわたってお届けします。 →大阪・北加賀屋の新サロン『DOUBLE M』の的場ご夫妻を直撃①はこちら →大阪・北加賀屋の新サロン『DOUBLE M』の的場ご夫妻を直撃②はこちら →大阪・北加賀屋の新サロン『DOUBLE M』の的場ご夫妻を直撃③はこちら 左:オーナー/スタイリスト 的場 千敏さん 石川県出身。22年間勤めた大正区のサロンから独立。きめ細やかで丁寧なカウンセリング・スタイリングで、お客様一人ひとりの理想を叶える。 右:アシスタント/エステティシャン 的場 麻美さん 大阪府出身。受付や経理、着付けなどヘアスタイリング以外の部分で千敏さんをサポート。その傍ら、店内の一角でエステサロンも営む。 いつかサロンとともにカフェの経営も実現したい ―例えばSNSなど、サロンを周知してもらうための取り組みは? 千敏:本来であればInstagramでも定期的に発信してフォロワーを増やしていきたいところですが、今はスタイリストが私一人だけなので、正直なところセーブしている部分もあります。まずはサロンに来てくださったお客様一人ひとりを丁寧にカウンセリング・スタイリングすることで、信頼をコツコツと積み上げていくことが先決だと思っています。 麻美:それに、知らないお客様同士がこの狭い空間にいるのは、きっと気を遣うはず(笑)。ゆったり寛げる空間を提供し、ファミリーで来ていただけるサロンのコンセプトに反してしまいますからね。その分、お客様の予約が時間帯によってぽっかり空かないように気を付けています。 ―今後、チャレンジしてみたいことはありますか? 千敏:今のやり方がしっくりきているので、当面は維持していこうかと思っています。ただ、私も妻もカフェ巡りが好きなので、いつかサロンに併設する形でカフェも経営できれば最高ですね。店頭の木製の格子窓からコーヒーを手渡したいなとシミュレーションしています(笑)。ここを地域の憩いの場にすることが今の夢ですね。 麻美:私は何より、美容師免許を取得することが先決です。あとは着付けやエステを身に着けたので、次はまつ毛・眉毛にもトライしてみたいですね。夫がヘア、私がその他の美容を担当できれば、このサロンの可能性はまだまだ広がると思います。 千敏:つまり、このサロンの伸びしろですね(笑)。キーパーソンは妻で間違いないです。 夫婦二人三脚でサロンのオープンに至った的場さんご夫妻。「お客様一人ひとりを大切にする」という強い想いのもと、コンパクトな店舗でプライベート空間を演出し、それぞれの個性を合わせたお二人ならではのサロンワークが印象的でした。ご夫婦でのサロン経営、地域密着型のサロン経営を考える際の参考にしてみてはいかがですか? <SALON DATA> DOUBLE M(ダブルエム) 大阪市住之江区北加賀屋5-6-18 リアライズ北加賀屋T02 Instagram :@double_m_hair
大阪・北加賀屋の新サロン『DOUBLE M』の的場ご夫妻を直撃③
スタイリスト歴16年の美容師と元ウェディングプランナーの的場さんご夫妻が営む『DOUBLE M』は、2023年2月に大阪・北加賀屋にオープンしたばかりの新サロン。サロンの特徴、開業準備、役割分担、今後の目標など、お二人のリアルなエピソードを全4回にわたってお届けします。 →大阪・北加賀屋の新サロン『DOUBLE M』の的場ご夫妻を直撃①はこちら →大阪・北加賀屋の新サロン『DOUBLE M』の的場ご夫妻を直撃②はこちら 左:オーナー/スタイリスト 的場 千敏さん 石川県出身。22年間勤めた大正区のサロンから独立。きめ細やかで丁寧なカウンセリング・スタイリングで、お客様一人ひとりの理想を叶える。 右:アシスタント/エステティシャン 的場 麻美さん 大阪府出身。受付や経理、着付けなどヘアスタイリング以外の部分で千敏さんをサポート。その傍ら、店内の一角でエステサロンも営む。 私のできることが増えればこのサロンの可能性はさらに広がる ―千敏さんはスタイリストですが、麻美さんはどのような役割を? 麻美:私は出産するまでブライダルの仕事に携わっていて、そもそも美容師免許は持っていないので、受付や掃除、経理、それから着付けを担当しています。着付けはブライダルの専門学校時代に資格を取っていて、サロンの開業を考え始めた頃から着付け教室で習い直しました。あとは、産後にエステを学んだこともあって、店内の一角のスペースでエステサロンも営んでいます。 ―店内にエステサロンがあると? 麻美:そうなんです。「REVI」を導入するために研修し、加盟店になりました。店内の奥には半個室のエステルームを設けています。それもあって、ヘアサロンのスペースがさらに狭くなったんですけど(笑)。 ―今後、美容師免許を取得する予定は? 麻美:実は今、通信教育で美容師免許の取得に向けて勉強している最中なんです。ヘアサロンで働く以上は仕事上の不便も多いですし、やっぱり免許は必要だなと。私のできることが増えれば夫の負担も減り、このサロンに新しい可能性が広がるということですからね。 夫婦で円満に仕事ができる秘訣は仕事上の関係性を崩さないこと ―仕事上で千敏さんにアドバイスをすることはありますか? 麻美:私はできることが少ないので、技術面での口出しは一切しません。もちろん、スタッフは二人しかいませんから、より効率良く回るような提案はしますが、その場合も「こうしたほうがいいよね」という言い方ではなく「こうするのはどうかな?」と、お伺いを立てるスタンスです。夫婦とは言っても公私混同しすぎないよう、仕事上の関係性を崩さないことが、円満に仕事ができる秘訣だと思います。家では立場が逆転しますけど(笑)。 ―ちなみに、平日の子育てはどのようにしているのですか? 麻美:平日は10時オープンなので、小学生の長女と保育園児の次女を送り届けてから出勤。17時で業務を終えたあとは次女を迎えに行き、それから小学生の長女を自宅の近くにある私の実家に迎えに行きます。17時以降は夫一人にお店を任せる形になりますね。 ―夫婦で働くことのメリットとは? 麻美:夫ということもあってコミュニケーションがスムーズで、個人的にはのびのび仕事ができていますね。 千敏:スタッフが多いサロンだと、一人ひとりの目標がそれぞれ違うことも多く、同じゴールに向かってお店を経営するのがすごく大変です。その点、妻とはサロンとしての目標設定がしやすい。やっぱり同じ歩幅で、同じ目標に向かって歩んでいけるところは大きなメリットだと思います。 次回最終回は、サロンとしてのチャレンジ、今後の目標をお届けします! <SALON DATA> DOUBLE M(ダブルエム) 大阪市住之江区北加賀屋5-6-18 リアライズ北加賀屋T02 Instagram :@double_m_hair
大阪・北加賀屋の新サロン『DOUBLE M』の的場ご夫妻を直撃②
スタイリスト歴16年の美容師と元ウェディングプランナーの的場さんご夫婦が営むヘアサロン『DOUBLE M』は、2023年2月に大阪・北加賀屋にオープンしたばかり。サロンの特徴、開業準備、役割分担、今後の目標など、お二人のリアルなエピソードを全4回にわたってお届けします。 →大阪・北加賀屋の新サロン『DOUBLE M』の的場ご夫妻を直撃①はこちら 左:オーナー/スタイリスト 的場 千敏さん 石川県出身。22年間勤めた大正区のサロンから独立。きめ細やかで丁寧なカウンセリング・スタイリングで、お客様一人ひとりの理想を叶える。 右:アシスタント/エステティシャン 的場 麻美さん 大阪府出身。受付や経理、着付けなどヘアスタイリング以外の部分で千敏さんをサポート。その傍ら、店内の一角でエステサロンも営む。 店舗を小規模にすることでお客様と向き合える時間が増えた ―ここからはサロンを開業するまでの話についてお伺いします。まずは開業のきっかけを教えてください。 千敏:アシスタント時代から大正区のサロンで20年以上勤務し、後半の5年間は前オーナーから5年契約で店舗を譲り受け、私自身がスタイリスト兼オーナーという立場を預かっていました。サロンとの契約満了が近づくにつれ、今まで通り働くか、自分たちのお店を持つかを考えたとき、夫婦でお店をオープンさせたいなと。 ―ご夫婦でサロンを営むという将来プランはもともと考えていたのですか? 千敏:結婚した時から「いずれは自分たちのお店を持ちたい」とは漠然と考えていましたね。それに、もともと私はマネージャーというよりもスタイリスト気質。お客様一人ひとりとじっくり向き合い、最初から最後までマンツーマンで担当したいタイプなので、サロンを営むなら小規模の店舗がぴったり合うと思っていました。 ―オーナーでもあった前サロンでは気苦労も多かったのでは? 千敏:そうですね。複数のスタッフを抱えていたので、お客様のスタイリングを任せることも多くなり、自分が担当できないことでストレスになってしまうことも。もちろん、不慣れな経営・人材の管理も重なってくるので、苦労は絶えなかったですね。そういう意味でも、今は妻とともに無理のない経営ができて、お客様と向き合える時間が増えたので、毎日が楽しく充実していますね。 予定していたオープンが遅れ、お客様を待たせてしまったことが最も辛かった ―サロンの立地、物件はどのように決めたのですか? 千敏:前サロンで担当していたお客様にはご年配の方も数多くいらっしゃいましたし、当初は前サロンがあった大正区で探していましたが、なかなか思うような物件が見当たらず……。エリアを自宅近辺の北加賀屋に移すと、たまたまマンション1階にコンパクトな広さの空きテナントを見つけ、「ここだ」と。場所は大通りに面していて分かりやすいですし、アクセスもバスや地下鉄などの交通手段が充実していて、大正区に住まれているお客様も比較的足を運びやすいですからね。 麻美:それに、子どものことを考えても、この立地がベストでした。保育園の送り迎えがしやすいですし、急な連絡が入ってもすぐに駆けつけることができますから。 ―開業準備を進めるうえで大変だったことは? 千敏:当初は2023年1月のオープンを予定していましたが、業者さん探しに苦労したこともあって、予定より1カ月遅れの2月にオープンしました。この物件を成約したのが2022年9月で、着工したのが年明け。内外装の打ち合わせや設備の発注などをこなしつつ、前サロンも成人式までは営業していたこともあり、新サロンの開業準備と旧サロンの業務との同時進行で、目が回るような毎日を過ごしていました。 麻美:普段は穏やかな夫があからさまにイライラしていて……。 千敏:あの時は大荒れでした(苦笑)。忙しさもそうですが、新サロンのオープン日が遅れていたこともあって、お客様が離れていくのではないかという不安と、待たせてしまっている申し訳なさが重なり、何とも言えない感情がこみ上げてきて……。これまでのキャリアで一番辛かった時期でしたね。 次回は、ご夫婦の役割のお話を中心にお届けします! <SALON DATA> DOUBLE M(ダブルエム) 大阪市住之江区北加賀屋5-6-18 リアライズ北加賀屋T02 Instagram :@double_m_hair
大阪・北加賀屋の新サロン『DOUBLE M』の的場ご夫妻を直撃①
スタイリスト歴16年の美容師と元ウェディングプランナーの的場さんご夫妻が営む『DOUBLE M』は、2023年2月に大阪・北加賀屋にオープンしたばかりの新サロン。サロンの特徴、開業準備、役割分担、今後の目標など、お二人のリアルなエピソードを全4回にわたってお届けします。 左:オーナー/スタイリスト 的場 千敏さん 石川県出身。22年間勤めた大正区のサロンから独立。きめ細やかで丁寧なカウンセリング・スタイリングで、お客様一人ひとりの理想を叶える。 右:アシスタント/エステティシャン 的場 麻美さん 大阪府出身。受付や経理、着付けなどヘアスタイリング以外の部分で千敏さんをサポート。その傍ら、店内の一角でエステサロンも営む。 アットホームで気取らない地元で愛されるサロンに ―今年2月にサロンをオープンしたばかりということですが、まずはお店のコンセプトを教えてください。 千敏:見ての通り、店内はこじんまりとしています(笑)。独立前のサロンは今よりも規模が大きく、いつもバタバタ忙しかったので、これぐらいの規模がちょうどいいなと。シートは2席しかありませんから、お客様のスタイリング中は貸し切り状態で、プライベートな空間がしっかり確保されているのが魅力です。 ―周りを気にせずリラックスできますね。 麻美:髪のお悩みやオーダーしづらいご要望も気軽に相談していただけると思いますし、一緒に来店されたお子様が騒いだり動き回ったりしても平気(笑)。貸し切り空間のなか、家族そろってリラックスした時間が過ごせると思います。アットホームな雰囲気で気取らず、お客様がゆったり寛いでいただける、地元で愛されるサロンを目指しています。 ―外観・内観もすごくオシャレですね。 麻美:年季は入っていますが、雰囲気のあるレトロな物件なので、デザイナーさんと相談しながら活かせる部分は活かそうと。コンクリートむき出しのゴツゴツとした壁やレトロ柄の床のタイルはヴィンテージ感が良い具合だったので、比較的そのまま活かしています。 千敏:妻とも話し合って、店舗のデザインはサロンというよりもカフェっぽい雰囲気にしたいなと。そんな雰囲気なので、近所の方がカフェと間違えて、ふらっと入って来られることも何度かありましたね(笑)。 足の不自由な前サロンのお客様が来られたときは特にうれしかった ―お客様はどういった方が多いですか? 千敏:当初は前サロン時代の顧客様がメインでしたが、最近では地元でも少しずつ知られてきて、新規のお客様も増えてきた印象です。幅広い年代のお客様にご来店いただいていますが、特にファミリーや40代以上の方が多いですね。 ―オススメのサロンメニューを教えてください。 千敏:サロンをオープンするにあたって導入した頭浸浴ですね。高濃度炭酸水のお湯をフェイスラインからかけ流して、溜まったお湯で頭全体を5分間浸すメニューです。頭皮や髪のデトックス効果が期待できて、お湯の温もりとせせらぎのような音に癒されます。髪や頭皮をキレイにしたい方、カラーの色持ちを高めたい方、気分をリフレッシュしたい方は、ぜひ一度試してみてください。 ―スタイリングで気を付けていることはありますか? 千敏:月並みながら、お客様の理想のヘアスタイルに近づけることです。顔立ちや骨格、髪質などを踏まえて長さやバランスを細かく調整し、理想のスタイルに近づけていきます。あと、自分では特別意識していなかったんですが、以前お客様からセニングカットのタッチが優しいと言っていただいたことがあって。やっぱり、お客様に寛いでいただくことをコンセプトにしていますから、癒しを提供できるサービスをもっと磨いていきたいと感じました。 ―オープンして半年が経ちましたが、そのなかで最も印象的な出来事は? 千敏:以前勤めていたサロンで担当していたお客様が足を運んでくださることですね。なかでも、足の不自由なご年配のお客様がわざわざバスに乗って、ここ北加賀屋まで来てくださったときは本当にうれしかった。長くお付き合いのあるお客様と独立後も関係が続いていくのは、美容師冥利に尽きるというか、とても励みになりますね。 次回は、開業準備のお話を中心にお届けします! <SALON DATA> DOUBLE M(ダブルエム) 大阪市住之江区北加賀屋5-6-18 リアライズ北加賀屋T02 Instagram :@double_m_hair
laji 海野さんご夫妻に聞く、夫婦でサロンを経営するということ
ビジネスもプライベートも支え合う美容師夫婦のカタチとは!? 今回は大阪・北浜を中心に全9店舗を営むlajiの海野さんご夫妻に二人でサロンをするということについて教えていただきました。 左: オーナー/トップスタイリスト 海野 康志さん 大阪府出身。現在は飲食店舗を含め、東京・大阪・淡路島で9店舗を経営中。得意なスタイルは再現性の高いカット。Instagram :@ laji_umino 右 :マネージャー/クリエイティブトップスタイリスト EIKOさん 鳥取県出身。東京のヘアサロン就職後NYに単身渡米。帰国し、結婚後に夫婦で独立。ボブ、ロングスタイルが得意。Instagram : @uminoeiko ―夫婦になって何年ですか? EIKOさん(以下敬称略):結婚は丸10年。同時にサロンも立ち上げたので、lajiも次の2月で丸10年になります。 ―結婚と同時にサロンの立ち上げ、その経緯は? EIKO:東京で働いていたサロンを辞めた後、ニューヨークで働いていたんですが帰国することになって。その時に兄が独立するから手伝うことになり、関西に住み始めたんです。 海野さん(以下敬称略):僕はその時、関西のサロンで働いていてタイミング的にも独立かなって思っていたので。結婚して、お互い美容師だったし一緒にやろうかって話になって。僕たちが30歳になる年にオープンさせました。 ―サロンの立ち上げで意見が合ったところは? EIKO:意外と好きなものが似ていたりするので、空間作りでは意見が合いました。元々海野さんのお客様だった方にお願いしたい方がいて、その方に自分たちの好きなイメージだけを集めて丸投げしました。今も新店舗が出来るタイミングでその方に内装をお願いしています。 海野:10年もやっていると熟成というか、成長していく。価値観も少しずつ変わっていく中で、同じ課程を経て同じものを観て夫婦で一緒に成長していっているので、そこは価値観はあっていると思うよね。 ―逆に意見が合わなかったところはありますか? 海野:空間に対してはないですけど、やっぱり技術スキームに関しては、育ってきた環境が違うので対立しました。まあこれは他の社員にも言えることですが…。ベーシックの部分が全く違うんで、そこのすり合わせは大変だったなと。でも長い期間やっていると何が大事かっていうことが見えてくるんです。長い期間を経て、大事なことに気付いていって、今のスタイルが出来ていったように思います。同じ場所で働いていた者同士が結婚するという状況はやりやすいと思いますが、僕たちのようにマニュアルも土地も全く違うとなかなか難しいなと思うことが多かったです。でも、そのおかげで許容範囲が広くなった。幅が広がったので、その違いを認識してあげられるようになったのは良かったなと。 ―北浜を中心に店舗展開していると思いますが、東京進出はどういった経緯があって? 海野:特に東京でやりたいとか決めてた訳ではないですが、元々千里の方の山でやりたいなって話をして…。 EIKO:私は嫌だって言って。海野さんもそっちでは働きたくないって言うから「誰が働くん?」ってなって。 海野:ワクワクしないって言われたので、じゃあ何がワクワクする?って聞くと東京って言われて。確かにワクワクするなって感じで。 EIKO:ちょうどその話があった次の週くらいに私が東京に行く用事があって、その時に東京時代の同期に会ったんです。その子に相談をしたら、「後輩でサロンを探している子がいて、えーちゃんと合うと思うし紹介するよ」って言ってくれて、会ってみたんです。そしたらすっごく良い子で。とりあえず海野にも会ってもらって、お互いに良い関係を築けると思ったから一緒に何か作っていこうということで東京のお店ができました。 海野:何かを始める時に利益フェーズではやっていなくて、一番大切にしているのは「誰と何をやりたいか」。誰とそこの景色を見たいのかを第一優先として考えてやっています。やりたいことを引き出してあげて、一緒にやって行くということが大事だなと。 ―プライベートでのお二人は? EIKO:あまり変わらない。家に帰っても“海野さん”って呼んでいます。 海野:「自分も“海野さん”やん」ってよう周りにも言われています。 EIKO:海野家で集まって「海野さん」って呼ぶと、みんな海野さんやでって(笑)でもそれ以外の呼び方が無いんです。 海野:家では僕が料理を担当していて EIKO:私が片付けとか、あとは最近子供が生まれたので子供のことを主に。 ―お子さんが生まれたんですね。子供が出来てからの働き方はどう変化しましたか? EIKO:意外と変わらない。変わらずに今も働いてはいるんですけど、私はやっぱり勤務時間が短くなりました。朝のスタートはみんなと同じですが、17時には帰る。でも最近夜のレッスンを見始めるようになったので、その時は仕事を調節しながら。夜レッスンの日は海野さんに見てもらって。分担しながらしているっていう感じですね。 ―出産から育児を通して感じることは? 海野:確信的なことを言うと、経営者サイドから見て出産は事前に準備しておかないとかなり難しいなって感じました。自分達が事業主なので、産休・育休無い。雇用保険に入れないので、すぐに復帰するしかない。なので、その前の準備が大切になってくる。現状の日本の事業主に対しての制度が、特に女性に対する性に関してかなり偏っているので。女性に対して保険適用出来るみたいな寛大な状況が作れたらいいですけどね。僕たちも出産の時期はやっぱり遅くなったって思います。守らないといけないスタッフがたくさんいる中で、ノリでは出来ないので。特にこの業界の出産に対してその考え方って難しいと改めて思ったし、独立するっていうところに対しての覚悟と考え方が大事だなということを子通して感じましたね。 ―夫婦で一緒に働いて良かったなって思うことありますか? 海野:オープン時の人件費率が下がったところ。売上がどうなるかわからない状況だから、固定費が下がるっていうのはめちゃくちゃ大事です。リスクも少なくなるので。絶対独立するなら夫婦でやった方がいいと思いますよ。 EIKO:めちゃくちゃ現実的な意見(笑)。夫婦だと気を使わずに追求しあえることが良いのかな。後輩とかだったら、どうやったら伝わるかを考えながら言葉を選んで進めていかないといけないけど、夫婦だったらまっすぐ思ってることを言えるので。ぶつかることも多いけど、変化していくスピードは、夫婦の方が早い。 ―最後にこれからのことをお聞かせください。 海野:うちは目指すべきは長期雇用なんですね。美容室の中で長期雇用をするっていうことはかなり難しいスキームなんです。それを実現するためにはいろんな価値を、スタッフの働くステージを作っていかないといけない。それをどうやって形成できるのかっていうことをに日々頭を悩ませています。もう自分たちがしたいことをやるという価値観では無くて、自分たちとスタッフがどう対話をして、一緒に歩んでいけるのかってことの方が大事かなって。 EIKO:生きてる時間の中で仕事の時間って長いじゃないですか。そこが不幸って、すごい人生損してると思っていて。やっぱりこの会社を通して美容師をやってよかったって思ってもらいたい。だから自分が1年目から出会っていたら、幸せだろうなっていう理想を追求し続けて、今の会社があると思います。本当に誰と出会うかで価値観も人生も考え方も一瞬で変わってしまうので。まだまだ課題は尽きないですが、長く働いてくれたスタッフがもしハサミを置いても仕事ができるように、選択できるような状況を作れるようにこれから試行錯誤しながら考えていきたいと思います。 海野さんご夫妻に聞く夫婦のカタチ、いかがだったでしょうか。改めてこれからの働き方を考えさせられる、そんな貴重なお話をありがとうございました。 <SALON INFO> laji /ラジ 大阪市中央区北浜東1-17北川ビル3F Instagram:@hair_make_laji