グローバルな美の新標準。新しい世界へ挑戦するヘアサロン『LIM』
今や海外にもその名を轟かす、大阪発のサロン『LIM(リム)』。東京進出、そしてグローバル展開と、数々のプロジェクトを成功に導いてきたのが、現在LIMの海外統括責任者を務めるカンタロウさんです。日本と海外を行き来する生活を15年以上続ける彼の目に、各地のサロンや美容師はどう写っているのでしょうか。カンタロウさんの言葉には、国境を超えて活躍するためのヒントが詰まっていました。 海外に出て気づいた、日本人への期待値 ─LIMにとって初めての海外進出となったのが、2009年のシンガポール店のオープンでした。いきさつを教えてください。 「僕自身のことから話すと、福岡出身で実家は明太子屋さんです。美容師になってからも、いつかは家業を継ぐという意識はありました。28歳のころ、父が余命宣告を受け亡くなったのですが、結果として美容師を続ける道を選んだんです。オヤジの願いを断ってまでやるんだから、とギアを入れ直し、東京進出に打ち込みました。成功と言えるところまでいったなと思い、墓前で手を合わせオヤジに報告したのですが「ここがゴールなのか?」と違和感があって。国内でお店を出して成功させることは、同じファミコンのカセットを何回もやって、攻略しているような感覚になっていました。ゼロからサクセスをつかむ、という方が性に合っていたのか、海外を目指すようになっていました。実は、はじめはシンガポールという予定ではありませんでした。国ごとのルールの違いや、人のつながりもあり、シンガポールになったという流れです」 ─海外展開して気づいた、日本との違いはありますか? 「日本人美容師に対する評価や期待値が高いと感じました。特にはじめのころは“お任せ”で来られるお客さんが多かったです。施術後に“これでいいですか?”と確認すると、逆に“あなたが良いと思う形にしてほしいから任せたんだけど?”と言われることもありました」 現地の文化にフィットしながら最適解を探る ─文化やトレンドの違いは感じますか? 「まず文化より前にあるのは、気候の違いです。常夏で湿気が多い土地では、コテでセットしてもすぐに崩れてしまいます。しかもシャンプーを毎日しないとか、生活スタイルも違います。次にトレンドですが、SNSが広まった今は場所を問わず同時的に広がっていると感じます。スマホを見せられて「これにしたい」とはっきり要求されることが増えました。写っているモデルは日本、韓国、欧米といろいろ。日本人が見本ならかわいい雰囲気、韓国ならきれい、セクシーなど求められるスタイルも幅があります」 Hair:Tomoya(@tomoyaiizawa) ─スタッフとのコミュニケーションや人材育成でも、日本と異なる点はありますか? 「自分が経験してきたストイックなやり方では、人が続かないのだと分かりました。働くことへの考え方だけでなく、スクールのカリキュラムが国ごとに違うことも大きいですね。少しずつ現地に合わせ、教育の仕方を変えてきました。ただ、ずっと大切にしてきた「目の前のお客さまを満足させる、幸せにする」という思いは、彼らにもすぐ伝わります。本人が上手くなりたいと思ったら、学び方が変わります。しかも、情報の読み取り方も自然と深くなる。そこは日本も海外も同じです」 「闘いに行く」姿勢を持って ─今後の展望を聞かせてください。 「“日本から来たサロン”というイメージを消していきたいと思っています。ローカルの目線で評価されてこそ意味があると思っているので。あとは、スタッフのやりたいことを応援したいと思っています。シンガポールに出店してからは、海外を目指して入ってくる子も増えました。あのころボスが僕にチャンスをくれたように、今度は(後輩に)返していく番だと思っています」 ─世界での活躍を目指す美容師や学生に向けて、メッセージをお願いします。 「“若いうちに海外に出た方がいい”と言う人は多いし、間違いではないと思います。それでもまずは、日本の中で基本の技術をマスターすることをお勧めしたいです。例えば25歳までにとか、目標を持ってベーシックを身につけて、外に出た方が強い。日本の技術はトップレベルですから。実力を手に入れてから出た方が、闘いやすいんです。“学びに”ではなく“闘いに行く”スタンスを持ってほしい。日本の技術を輸出し、見せつけるような美容師になってほしいと願っています」 常に前を向くスタンスで、メイド・イン・ジャパンの誇りを持って闘い続けてきたカンタロウさんの話は深く響きますね。海外への憧れから希望を持つことは素晴らしいことですが、まずは今いる場所で挑戦することの大切さを再確認しました。 カンタロウ LIM OOO(Oversea Opportunity Officer = 海外統括責任者) Instagram:@kantaro0427 福岡県北九州市出身。高校を卒業後、美容師を目指して大阪へ。1996年に有限会社LESS IS MORE (LIM) に入社し、20代にして人材育成や国内外の店舗展開に携わる。コロナ禍を機にセミリタイヤを経るも情熱はやまず、後進の指導やプロデュース業、さらにサロンワークも継続している。 <SALON DATA> KIZUKI +LIM/キズキ プラスリム 31 Seah Street Singapore 188387 Instagram:@kizuki_lim TOKI +LIM/トキ プラスリム 328 North Bridge Road #02-33 Raffles Hotel Arcade Singapore 188719 Instagram:@toki_lim mimi +LIM/ミミ プラスリム 103 台北市大同區赤峰街47巷3號2樓 Instagram:@lim_taiwan MILK +LIM/ミルク プラスリム 200021 上海黄浦区湖滨路168号无限 Instagram:@milk_lim_shanghai
【インタビュー動画アリ!】京都のカリスマ美容師 TONO流 『7つのルール』
前回、京都の繁華街・河原町の美容室「LOVEST KYOTO」でお話をお伺いしたTONOさん。美容師として異彩を放ち、関わる人々を魅了するそのキャラクターは、徹底した自己ブランディングによって生み出されたそうです。今回は、TONOさんが全国で行うセミナーの中から、TONO流セルフブランディングの哲学『7つのルール』についてお聞きしました! インタビュー動画はこちらから! 〈PROFILE〉 LOVEST KYOTO / スタイリスト TONOさん 滋賀県出身。顧客には著名人も多く、月間最高売上300万円という記録を誇る、LOVEST KYOTOのトップスタイリスト。さまざまな番組や世界的ヘアカタログをはじめ、多数のメディアへも出演。自身のブランディングにこだわり、そのノウハウを全国の美容師に伝えるべく、セミナー公演なども実施している。近年では、日本初のお寺でのヘアカットPVが話題を呼んだ。 Instagram:@official_tono 〈SALON DATA〉 LOVEST KYOTO 京都府京都市下京区河原町通順風町309 中村ビル2F Instagram:@lovest_kyoto 『7つのルール』とは? 今回お伺いする『7つのルール』は、「スタイリストになった当初は、何者でもなかった」と自身を振り返るTONOさんが、今のスタイルを築き上げるまでに得た、気づきや戒めをまとめたものだそうです。自身が理想とする美容師像を見失わないために定めたこのルールには、それぞれどんな想いが込められているのでしょうか。 それぞれのルールに設けられたテーマ 『7つのルール』には、それぞれ以下のようなテーマが設けられています。 1. リピート :「もう一度会いたい」と思われる美容師になる 2. 変化 :君は変われるか 3. メンタリティ :「健康な危機感」を育てる 4. 研鑽 :「できたこと」を振り返る 5. 対人関係 :言葉の温度 6. 今 :今を真剣に生きていますか? 7. 未来 :未来に幸せの種をまこう 今回のインタビューでは各ルールについて、一つひとつ詳しくお話をお聞きしています。 TONOさん自身がかつて抱えた課題を克服する過程で生まれた『7つのルール』は、どれも経験に基づいているため、綺麗事だけではない活きたアドバイスとなっています。普段のTONOさんのフランクで明るい接客とは対照的な、真摯で熱のある回答が、あなたの美容師人生を大きく変えるかもしれません。特に指名がもらえないことや、リピートがつかないことに悩んでいる方は、ぜひ一度ご視聴ください。 「意外と真面目に話せるんです。仕事ってこういうものなんで」と語るTONOさんの、ギャップある一面にも注目です。
セミナー公演などの実績多数! 京都のカリスマ美容師・TONOさんとは?
ホスト業界のイメージを一新したあの方を彷彿とさせる、カリスマ美容師が存在するという噂を聞きつけ京都に…。そこにいたのは、数々の輝かしい実績を引っ提げて、メディア出演やセミナー開催などを積極的に行う、京都を代表するスタイリストのTONOさん。 一体どんな人物なのか、特別にインタビューをさせていただきました! 〈PROFILE〉 LOVEST KYOTO / スタイリスト TONOさん 滋賀県出身。顧客には著名人も多く、月間最高売上300万円という記録を誇る、LOVEST KYOTOのトップスタイリスト。さまざまな番組や世界的ヘアカタログをはじめ、多数のメディアへも出演。自身のブランディングにこだわり、そのノウハウを全国の美容師に伝えるべく、セミナー公演なども実施している。近年では、日本初のお寺でのヘアカットPVが話題を呼んだ。 Instagram:@official_tono 〈SALON DATA〉 LOVEST KYOTO 京都府京都市下京区河原町通順風町309 中村ビル2F Instagram:@lovest_kyoto ――まずは自己紹介 LOVEST KYOTOのTONOと申します。3世代に渡るお客様など生涯顧客が多く、お客様を飽きさせないことを強みとしている、京都のハイパー美容師です。 ――座右の銘や大切にしている言葉はありますか? ありません。生み出す側なんで。 ――美容師を目指した理由 美容業界がTONOを呼んでいたからです。 当時10歳の時に初めて訪れた美容室に、心を動かされたんです。その日までは近くの床屋にお任せしていた、「伸びた髪を切る」という作業が一変。「内面からかっこよくなれた」と感動した、その衝撃を今でも覚えています。ただ伸びた分を切るのではなく、まだ見ぬ自分の姿を提案してくれたり、その時々に響く言葉をかけてくれたりと、仕事としての奥深さに魅了され、今のTONOが存在します。 ――美容師としての面白さ 毎日たくさんの人と出会うことで、日々成長ができるということですね。一見同じようなことをしていても、出会う人が違えば受ける刺激も異なります。毎日新しいことに挑戦しているようで、ワクワクしますよ。僕、明日に向かって生きてるんで。 ――美容師としてのこだわり 自身のブランディングはもちろんですが、接客時にデザインとケアの提案は欠かしません。 「今日はどうしましょう?」ではなく、「春なんでこんなスタイルどうですか?」「似合うと思ってこんなイメージを持ってきました!」という風に、まずはこちらから提案をする。「私のために考えてくれたんだ」という特別感を演出するようにしています。そうやって信頼関係を作ることで、「TONOさんが言うなら……」となるんです。大事なのは何を言うかではなく、誰が言うか。これが売り上げを伸ばす上でも重要です。 ――これまでにぶつかった壁 実は今もですが、常に壁にぶつかっています。まっすぐ歩けているから、正面から壁にぶつかれる。そう考えると、これまでの道のりは正しかったんだなと思います。 特に大きかった壁は、スタイリスト昇格時にありました。当時、そのままでも問題はなかったのですが、美容師として登り詰めるにはキャラクターが少し弱かったんです。「お客様の印象に残らなければ、通ってもらえない」と考え、本気で自身のブランディングに着手しました。それからは結果がついてきましたね。 僕、あの人に似てますよね? 正解なんですよ。皆は中途半端に取り入れるものを、僕は堂々と徹底的にパクる。パクってパクって真髄を得てから、自分の色を出して切り離す。そうすれば、目標とした方を越えられる可能性を秘めた自分が生まれると考えています。 ――夢やビジョン 同じ夢を抱き続けるのは、結末を知っている映画を観るようなものだと思います。「何が起こるかわからない」そんな刺激を味わい続けたいので、夢や目標は通過点として、その時々で変えるようにしています。 今の夢は“美容師の社会的地位向上”。希望に満ち溢れた新しい世代の美容師たちが、「職業は美容師です!」と胸を張って言えるように、業界全体を盛り上げたいと思っています。そのためにも今は、身近な若手スタッフの育成に力を入れています。 今回のインタビューを経て、TONOさんについてさらに知りたくなった編集部は、追加インタビューを決定! AM-YUでは、TONOさんの魅力をまとめたプロモーション動画も作成しているので、興味のある方はそちらもご確認ください。 次回はTONOさんがセミナーでも話されたという、目指す美容師像を具現化するために作った、「TONO流 7つのルール」についてお聞きします。お楽しみに!
好きを極めたヘアアレンジとスタイル写真のHOW TO! braceのトップスタイリストに聞いてみた【後編】
美容師なら一度は、「オリジナリティ溢れるヘアアレンジがしたい!」「おしゃれなスタイル写真をSNSにアップしたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。今回は流行を抑えつつ、さらにひと手間加えた“かわいい”ヘアレンジを得意とする、「soin de brace あべの店」の中島さんにインタビュー! 今回は写真を撮るときの注意点と、ヘアアレンジのアイデアをどこから得ているのかをお聞きします。 → 実践していただいたヘアアレンジについては前編記事を 〈PROFILE〉soin de brace あべの店 / スタイリスト 中島かおりさん 専門学生時代に参加したコンテストにて、ヘアアレンジ部門で入賞したことをきっかけに、それを自身の武器として磨く。brace入社後もSNSを駆使してアイデアを蓄積し、その人に合わせた“かわいい”ヘアアレンジを数多くのお客様に提案。現在は「soin de brace あべの店」のトップスタイリストとして活躍中。 Instagram:@_kaori_06 〈SALON DATA〉 soin de brace あべの店 大阪府大阪市阿倍野区松崎町2丁目3番47号 Instagram:@hair.brace Instagramで魅せるスタイル写真の作り方 普段、Instagramを用いて自身のヘアアレンジを広く公開する中島さん。そのおしゃれな写真はどのようにして撮っているのでしょうか。 ――Instagramへの投稿写真は、中島さん自ら撮られているのですか? はい。iPhone 13 Proを使って撮っています。髪の正確な色味を伝えなければいけないので、アプリなどは使わずノーマルカメラを使用しています。 ――色味を正確に伝えるには撮影場所も重要ですよね? そうですね。私が勤めている「soin de brace あべの店」のライトはすべて暖色系なので、少しでも自然光の入る、レジ付近で撮影することが多いです。また、お会計後であれば、手荷物などお客様の私物が写りこみやすく、その人の雰囲気がより鮮明に伝わるのでおすすめです。 ――撮影場所以外に気を付けていることはありますか? 画角などはもちろんですが、Instagramの投稿は画像がスクエアになってしまうので、撮影時はどこが見切れてしまうのかを考えています。どんな雰囲気の人に合わせたヘアスタイルなのか、また引きで見た時のバランスが分かるよう、その人の服を少し見せた、バストアップの構図を意識しています。 ――ポーズなどは指定されているのですか? 「服の雰囲気を見せる」「棒立ちではなく動きをつけて空間を使う」の2点を意識してポージングを考え、お願いしています。ただ、私はしっかりとキメている写真よりも、不意を突かれたような日常的な写真が好きなので、カバンやスマホを触っているポーズをお願いすることが多いです。 インスピレーションはInstagram。自分の好きを理解し、突き詰める ――ヘアアレンジや撮影のアイデアはどこから得られているのですか? Instagramです。好きな美容師の投稿を見たり、「#デザインカラー」などで検索をかけたりして、毎日アイデアを蓄積しています。フォト作品を作るような本格的な撮影前も、ポージングや色味の参考に、Instagramでおしゃれな写真を探しています。 ――雑誌などよりもInstagramを見られるんですね。 雑誌だと写真に限りがありますが、Instagramの場合は検索方法を変えれば、次から次へと新しいものが出てきます。たくさんの作品に触れたい場合はInstagramがおすすめです。 ――トップスタイリストになられた今でも、Instagramを毎日チェックされていますか? 私の目標は「中島さんにしてもらったら必ずかわいくなれる」と言っていただける美容師です。そのためには現状に満足せず、常に“かわいい”スタイルを追い求めなければいけません。今でも時間を見つけてはInstagramを開いて、イメージを膨らますようにしています。 ――最後に、美容専門学生やアシスタントとして夢を追われている方々に、一言お願いします。 成長のためには自分が思う“かわいい”や“かっこいい”を、まずは理解することが大切だと思います。そのためには、色々なものを見て聞いて比較しましょう。目標が明確になれば、あとはそれを真似していけば力がつくはずです。学ぶことに集中できる今の機会を大切にし、自分の理想を突き詰めてください。
好きを極めたヘアアレンジとスタイル写真のHOW TO! braceのトップスタイリストに聞いてみた【前編】
美容師なら一度は、「オリジナリティ溢れるヘアアレンジがしたい!」「おしゃれなスタイル写真をSNSにアップしたい」と思ったことがあるのではないでしょうか。今回は流行を抑えつつ、さらにひと手間加えた“かわいい”ヘアレンジを得意とする、「soin de brace あべの店」の中島さんにインタビュー! その場でヘアアレンジを実践していただき、気を付けていることやこだわり、写真を撮るときの注意点などをお聞きします。 〈PROFILE〉 soin de brace あべの店 / スタイリスト 中島かおりさん 専門学生時代に参加したコンテストにて、ヘアアレンジ部門で入賞したことをきっかけに、それを自身の武器として磨く。brace入社後もSNSを駆使してアイデアを蓄積し、その人に合わせた“かわいい”ヘアアレンジを数多くのお客様に提案。現在は「soin de brace あべの店」のトップスタイリストとして活躍中。 Instagram:@_kaori_06 〈SALON DATA〉 soin de brace あべの店 大阪府大阪市阿倍野区松崎町2丁目3番47号 Instagram:@hair.brace まずはヘアアレンジを拝見! 王道は避け、その人の雰囲気に私らしさをプラス 今回取材させていただくにあたり、ヘアアレンジを実践していただきました。 ――今回のヘアアレンジのテーマを教えてください。 「ボブでもできる、さりげないヘアアレンジ」です。今回はファッションに合わせて、日常でも取り入れやすい、やりすぎないヘアアレンジをしていこうと思います。 ――ヘアアレンジの際に気を付けていることはありますか? やりたいことを決めきって取り掛からないようにしています。ヘアアレンジはその人のスタイルに合わせて、ひと工夫するのが正しいやり方だと考えているので、私は事前に提案したいスタイルをいくつか持っておき、その人のファッションや髪型、髪質を見てから決めるようにしています。 ――接客が始まってから完成イメージを決めていくんですね。 厳密には来店されたタイミングからです。来店時のコートや手荷物からもその人の好みが垣間見れるので、その段階からアレンジの候補を絞っていきます。そして、接客を通して完成イメージが固まれば、最後に左右どっちの振りが好きかを聞いて、アレンジに取り掛かります。 ――中島さんのヘアアレンジへのこだわりを教えてください。 “かわいらしさ”には強いこだわりがあります。誰が見ても、どこから見てもかわいいヘアアレンジを常に意識しています。 あとは、“王道になりすぎない”。せっかく私に任せてもらえたなら、誰でもできるものではなく、「中島さんにお願いしたからできた」と思ってもらえるように、私らしさを取り入れるようにしています。 完成!! ――今回の注目ポイントを教えてください。 シルエットですね。前から見てもわかるツインを取り入れ、360°どこから見てもかわいいと感じていただけるように意識しました。 ――苦戦したところはありましたか? モデルになってくれた方の髪が想定よりも少し短かったので、ボリューム感を出すことに苦労しました。このようなことはよくあるので、その時はまずボリュームが出せるところを探し、そこを中心に考えます。今回は下の方ならボリュームが出せそうだったので、少しだけ髪飾りも使用し、バランスを整えました。 次回は、Instagramに掲載するスタイル写真の撮り方や、中島さんのインスピレーションについてお聞きします!
美容師さんがオススメするランチ3選【cici hair and eye 高木由香さん編】
日々のハードなサロンワークをこなす美容師さん。ゆっくりとランチタイムが取れないイメージもありますが、いろいろなお客さんと接することが多い仕事なので、きっと美味しいランチ情報も持っているはず。ここでは、グルメ好きの美容師さんのオススメランチをご紹介。今回は、『cici hair and eye(シシ ヘアーアンドアイ)』の高木由香さんです。 ▼今回、お願いした美容師さん 高木由香さん cici hair and eye スタイリスト Instagarm:@ yukatakagi 最近、注目していること:ミッドセンチュリー家具 <SALON DATA> cici hair and eye/シシ ヘアーアンドアイ 大阪市西区京町堀2-3-4 SunYamatoBLD101 Instagarm:@ cicihairandeye Recommend 1 / pimerのポタージュカレー 「野菜をたっぷり使ったクリーミーなポタージュカレー。日替わりで変わるので週一で通っています!!」 <SHOP DATA> pimer 大阪市西区京町堀2-3-4 サンヤマトビル2F Instagarm:@pimer_curry Recommend 2 / NOOMのボロネーゼ 「パスタの麺がモチモチしていて美味しい!! 空間も女子会にオススメです!」 <SHOP DATA> NOOM 大阪市西区靱本町1-15-18 Instagarm:@noom.utsubopark Recommend 3 / オステリア ラ チチェルキアの生ハムとトマトとモッツァレラチーズ 「甘いトマトとフレッシュなチーズ、イタリア産のハムでお昼飲みの贅沢な時間。日曜のみ14時から営業されています。まるでイタリアのマルケ州に居るような素敵な空間です」 <SHOP DATA> オステリア ラ チチェルキア 大阪市西区京町堀2-3-4 サンヤマトビル3F Instagarm:@osteria.la.cicerchia いかがでしたか!? 女性の美容師さんにオススメしてもらったこともあり、どれも見た目から華やかさがあって美味しそうでしたね。どのお店も高木さんが勤めるサロンの近辺。靱公園エリアのランチリストに加えてみてね。
【後編】NYCの最前線で働くHIROさんにインタビュー! -これからの目標と後輩へのメッセージ-
あらゆる人種が街を闊歩し、顔を見上げると摩天楼が立ち並ぶ大都会。そう、今も昔も世界の経済・ファッション・カルチャーのトップに君臨するNYCです。最先端の空気感に触れたいなら誰しもが憧れる場所にて、10年以上も第一線で活躍している日本人がいます。その名もHIROさん。幼少の頃からブラックカルチャーに触れ、いつかはNYCのバーバーで働きたいという夢を叶えた氏に話を聞きました。すべては理想の自分になるため。一心不乱に突き進んだHIROさんのインタビューを前編・中編・後編の3記事に分けてお届けします。後編は自身が抱くこれからの目標、同じ夢を持つ後輩へのメッセージを語ってもらいました。 NYCで新たなチャレンジを模索中。 −今後はどのような目標を掲げていますか? 「自分のプライベート空間をNYCで借りたんですよ。今はその場所を工事していて準備中なんですけど。あんまり頭でっかちになることなく、臨機応変に使えるようなスペースにしたいなと考えています」 −臨機応変に使えるスペースというのは? 「例えばゲストを呼んでカットしたり、自分で使う道具を作って展示したり、また知人に貸してレンタルスペースとして機能させたりですかね。NYCに訪れたときと同じように、とりあえずやってみてそこから考えるというのもありなのかなと」 −場所だけ先に借りる行動力がHIROさんらしいですね。 「考え過ぎちゃうと動けない性分なので。とりあえずジャンプしてみて、着地点と次のステップを同時に探すような感覚ですかね。そのジャンプする方向を見定めるアイデアをちゃんと持ったうえで行動はしていますけどね」 −まだ具体的なプロジェクトは決まっていないんですね? 「そうなんですよ。色々と考えていることは進行しているんですが、まだ告知できるようなプロジェクトがなくて。ただ、今後も自分でコントロールできるような場所にしたいと思っています」 場所に左右されずに一生懸命な人がカッコいい。 −今後、海外で仕事をしてみたいと考えている方々に、ご自身の経験も踏まえてアドバイスをお願いします。 「とりあえず海外に行ってみたいと思っているなら、すぐにでも飛行機のチケットをゲットして現地に行くのが大切ですね。考えてても結果は出ませんから。行ったら見えるものも、匂いも、聞こえてくる音も違います。そういう状況にいたら、考え方って自然と変わるんですよ。最近はインターネットの普及で情報は手に入りますが、そこには良い部分しか紹介されていないのがほとんど。ブラウザーで見る情報なんてリアルじゃないから、やっぱりライブ感を得るためには行きたい場所に渡ることです」 −何事にも行動を起こすから始めようということですね? 「そうですね。別に海外で働いているからってカッコいいというわけじゃなく、自分の好きなことを一生懸命やっている人がカッコいいじゃないですか? だからこそ、自分に素直になって動いて欲しいですね。確かにガッツは必要ですが、ちょっとくらいの失敗でヘコたれているようではダメだと思います」 −現在の日本の美容業界はどう思いますか? 「僕が偉そうなことを言う立場ではないんですが、日本には日本のスタイルがあってカッコいいと思いますよ。一部のアメリカ人の中で日本のヘアサロンというと、いわゆる原宿ファッションのように奇抜なカラーを施した髪型を作るお店ばかりだと思っている人もいます。それと同じようにバーバーでいうと、ポマードを付けて、7:3でビシッと横分けするだけと思っている人もたくさんいます。それだけではないし、僕自身も幅広いスタイルを作ります。これからもその人を活きるようにベストなスタイルを提案したいですね」 NYCで活躍するヒロさんのインタビューをお届けしましたが、いかがでしたでしょうか? インターネットが発達した現代では、あらゆる情報が得られるようになりましたが、リアルで体験してみないと分からないことがあるのも事実です。考えるよりもまずは行動することが、なりたい自分に近づける鉄則ですね。 HIROさん 広島で生まれ育って専門学校への入学とともに大阪へ。学生時代は昼間にヘアサロンで働きつつ、夜間で関西美容専門学校、通信教育でNRB日本理容美容専門学校に就学。大阪の枚方市にある『Braid&Bumba』を経て渡米し、現在はNYCの『FRANK'S CHOP SHOP』に勤務。人気バーバーに勤めつつ、同地にて契約した新しいフリースペースをベースに「何か面白いことを発信したい」と模索中。 Instagram:@mrhirojp
【中編】NYCの最前線で働くHIROさんにインタビュー! -アメリカと日本の違い-
あらゆる人種が街を闊歩し、顔を見上げると摩天楼が立ち並ぶ大都会。そう、今も昔も世界の経済・ファッション・カルチャーのトップに君臨するNYCです。最先端の空気感に触れたいなら誰しもが憧れる場所にて、10年以上も第一線で活躍している日本人がいます。その名もHIROさん。幼少の頃からブラックカルチャーに触れ、いつかはNYCのバーバーで働きたいという夢を叶えた氏に話を聞きました。すべては理想の自分になるため。一心不乱に突き進んだHIROさんのインタビューを前編・中編・後編の3記事に分けてお届けします。中編はアメリカと日本の違い、渡米したもう一つの理由などを語ってもらいました。 →【前編】NYCの最前線で働くHIROさんにインタビュー! -活動の場を海外に移したきっかけ- はこちら(公開後リンク) やり切りたいとの想いからNYCの地に根を張ることに。 −1年で帰国するつもりがNYCを拠点にしようと思ったのは? 「こっちに住んでみて、頑張ってる人たちを間近で見られたからですね。例えば、3ヶ月から1年でアメリカから日本に帰ってきて、現地のブランドを使って仕事をする人も多いじゃないですか? それを否定するつもりはありませんが、何だか僕には軽く思えてしまって。先ほども言ったように現地で外国人と勝負している人がたくさんいるんです。自分自身がアメリカに来た頃も、10年以上もNYCで奮闘している方も多くて。そんな人たちを横目にして。アメリカを土台に日本で仕事をしようとは思えなかったんですよ。自分にできることは思い残すことのないようにしようと思ったのが、この場所に止まろうと考えた理由です。結果的に3年、5年と過ごした人にしか分からない感覚が得られたと思っています」 −それにしても異国の地で10年以上も過ごすのはスゴイの一言に尽きます。 「入社してから今まで、仕事漬けの毎日ですよ(笑)。ちなみに正式に『FRANK'S CHOP SHOP』に入ったのは、アメリカに渡って1年後です。学生ビザを取得して生活していたので給料を受け取ることができず、それまではインターンシップ的な扱いでした。労働ビザだけでなく、アメリカで就労する人は必ず加入しないといけない社会保障制度のソーシャル・セキュリティナンバーも発行しました。周りの人に聞きながら、現地で働くための申請がスムーズにできたのも良かったですね」 アメリカへと渡ったもう一つの理由とは? −日本とアメリカで仕事の違いを実感したことはありますか? 「こっちは完全歩合制で、やればやるほど報酬がもらえます。自分が思う大きな違いは給料面ですかね。日本人はクオリティを重視するからか、報酬が増減しなくてもいいものを作ろうとしますよね。その給与体系をアメリカ人にしてしまうと、人種的なものもあって「別に毎月のように決まったお金がもらえるから」とバレずにサボろうとしますよ」 −HIROさんはより多くの報酬を受け取るために、どのような工夫をしてきましたか? 「毎日のようにちゃんと時間通りに出勤して、自分が持っている技術のレベルを安定して供給することですかね。当たり前のことを当たり前にこなすという日本人の考えをアメリカで実践しています。継続は力なりで、塵が積もって山となるみたいな」 −大胆な行動とは裏腹に、仕事のスタイルは堅実でとても好感が持てます。 「実はアメリカに行きたいなと思った理由ってもう一つあるんです。勤勉な性格の持ち主って自分でも理解しているから、アメリカに行けばいい意味でも悪い意味でもラフなアメリカの気質がちょっとは身に付けられるんじゃないかと思って。日本人とアメリカ人を足して割ったようなバランス感のある人間になりたかったんです。機械的にもなりたくないし、かといってアーティストぶりたくもなくて。自分にはなかった要素が上手く足せたんじゃないかと思います」 −NYCで生活してどのような部分が自分自身にとってプラスになりましたか? 「すいません、それが言葉では上手く伝えることができなくて。ただ、作り上げるスタイルは日本にいた頃よりも変わったと思っています。ヘアカットに限らず手仕事って、その人のライフスタイル・バックボーン・カルチャー・ナショナリティが映し出されるじゃないですか。目に見えないアメリカの空気感を取り込むことによって、ゲストに提供するスタイルはより自分の理想に近づけたと思っています」 −外国人の髪の毛を扱ううえで違和感はありませんでしたか? 「仕事をこなしていく中で、もちろん試行錯誤はありましたよ。中でも日本では出会ったことのないようなカーリーヘアは印象に残っています。ウェットとドライのときの状態がまったく異なるので当初は苦労しましたね。アメリカでは日本人のように髪質がみんな似通っていません。しかも、こっちの人たちは例えば薄毛や縮毛といった特徴的な髪質を日本人のようにコンプレックスだと思っていないんですよ。今は仕事で重要視しているのは友人宅の冷蔵庫にある食材で美味い飯を調理する感覚ですかね。臨機応変に対応しながら、ベースが異なる一人ひとりにベストなスタイルを作り上げることを大切にしています」 「何事もバランス感覚が大事」と、これまでの自分にアメリカ人的なエッセンスを取り入れたかったのが、もう一つの渡米の理由だったと言うHIROさん。その遊び心が髪質の異なる様々なゲストに対応できるスキルを養ったのかも。後編では自身のこれからの目標、そして氏のように海外で仕事をしてみたいと考える後輩に向けたメッセージも語ってもらいます。 HIROさん 広島で生まれ育って専門学校への入学とともに大阪へ。学生時代は昼間にヘアサロンで働きつつ、夜間で関西美容専門学校、通信教育でNRB日本理容美容専門学校に就学。大阪の枚方市にある『Braid&Bumba』を経て渡米し、現在はNYCの『FRANK'S CHOP SHOP』に勤務。人気バーバーに勤めつつ、同地にて契約した新しいフリースペースをベースに「何か面白いことを発信したい」と模索中。 Instagram:@mrhirojp
【前編】NYCの最前線で働くHIROさんにインタビュー! -活動の場を海外に移したきっかけ-
あらゆる人種が街を闊歩し、顔を見上げると摩天楼が立ち並ぶ大都会。そう、今も昔も世界の経済・ファッション・カルチャーのトップに君臨するNYCです。最先端の空気感に触れたいなら誰しもが憧れる場所にて、10年以上も第一線で活躍している日本人がいます。その名もHIROさん。幼少の頃からブラックカルチャーに触れ、いつかはNYCのバーバーで働きたいという夢を叶えた氏に話を聞きました。すべては理想の自分になるため。一心不乱に突き進んだHIROさんのインタビューを前編・中編・後編の3記事に分けてお届けします。前編はNYCに抱いた憧れと実際に海外へと渡った経緯について語っていただきました。 都会に憧れを持った初期衝動のままに海外へ。 −昔から漠然と海外で働くことを目指していたんですか? 「そうですね。僕は広島の田舎で生まれ育って、“いつかは大都会で働きたい”と幼少の頃から考えていました。大阪の専門学校を卒業して就職が決まらず、また海外旅行にも行ったことがなかったので、実際にアメリカへ遊びに行ったのがNYCに興味を持ち始めたきっかけですね」 −その後はNYCではなく大阪のヘアサロンへ? 「いきなりNYCではなく、まずは日本で腕を磨くことを考えました。本当は東京のサロンで働きたかったのですがご縁がなく、専門学校が大阪だったこともあって、枚方の『Braid&Bumba(ブレイドアンドブンバ)』に入社することに」 −HIROさんが生き生きと働けるようなブラックカルチャーに傾倒したお店ですね。 「そうなんです。サロンが目指すスタイルがめちゃくちゃ好きで。黒人が取り入れるようなスタイルを前面に打ち出しているのに惹かれましたね」 −入社したのはいつ頃ですか? 「21歳のときなんで、今から19年も前ですね。そこから28歳まで『Braid&Bumba』で働かせてもらい、そこからNYCへと渡りました」 −ちょうど30歳手前ですね。 「誰しもが30歳前後に“このままでいいのか”って疑問を抱くじゃないですか。僕も10イヤーズディケードを越える前に、とりあえずNYCに行ってみようと思ったんです。28歳というのも計算があって、見知らぬ土地で生活するのに1年を通して過ごさないと、4シーズンの感覚で掴めないと思っていて。当初はNYCで1年を過ごして日本に戻り、29歳くらいに日本でお店をやろうという考えもあったんです。それが気付けばNYCで10年以上も生活するなんて、その当時は思ってもいなかったですね(笑)」 熱意が通じて都会の中心地にあるバーバーで働くことに。 −アメリカではこういうお店で働きたいという想いはありましたか? 「漠然とこういうスタイルのお店で働きたいというのがありましたが、日本で黒人文化に触れてブレーズを取り入れるなど、男性のタイトなデザインに傾倒していったんです。自分自身のスタイルを活かせられると思ったのがバーバーショップで。ただ、バーバーといってもNYC中に何軒もあるじゃないですか? 外国人が日本で寿司屋で働こうと思ったときに、どこのお店に行けばいいのか分からないのと一緒で。フッドと呼ばれる街の床屋も受けてはみましたが、やっぱりNYCで仕事をするなら、東京でいう代官山のような場所が良いじゃないですか。今、働いているバーバーは自分も以前から屋号を知っているほどの名の通ったお店なんです」 −現在、働かれているのはどこのバーバーですか? 「『FRANK'S CHOP SHOP(フランク チョップ ショップ)』というお店で、場所はマンハッタンの中でもチャイナタウンとロウアー・イースト・サイドのボーダーラインにあります。今でこそ日本にも進出しているんですが、僕が入社した当初はここにしかなくて」 −このバーバーに入社が決まるまで、どれくらいの時間がかかりました? 「ちょうど渡米してから1ヶ月です。入社するまで色々なことをしていて……。“髪の毛切ります”と自分で手描きしたボードを置いて、路上や地下鉄で髪を切っていましたね。アメリカは自由の国だから何でも受け入れてくれると勘違いしてたんです(笑)。ある日、警察が来て切符を切られてしまい、200ドルの罰金が課せられてしまいました。そこにはすぐに払わないと裁判所に訪れる義務があり、そこで敗訴になると100万円ほどの罰金刑になるとの記載があり。そこまでのリスクは背負えないと、今度はウェブサイトや掲示板に“出張で髪を切ります”と告知して、色々な場所に出向いては髪を切っていましたね」 −単身でアメリカに渡るのはもちろん、その後の行動力も半端ないですね!! 「出発前にみんなから“頑張って!!”と鼓舞してくれたこともあり、何とかしなくちゃダメだという想いでいっぱいでした。誰も知らない土地なんで、恥も外聞もないですし、怖いものもまったくありませんでしたよ」 −その熱意は昔からお持ちだったんですか? 「『Braid&Bumba』でも『FRANK'S CHOP SHOP』でもですが、実は履歴書を何度か送っているんです。『Braid&Bumba』は3回ほど送りました。オーナーの早川さんが3度目に履歴書を見たらしく、“面白い子がいる!”と連絡をしてくれて。『FRANK'S CHOP SHOP』はウォークインして髪を切ってもらい、受付の女の子に“ここで働きたいから”と伝えて電話番号を渡しました。1週間経っても、2週間経っても連絡がこないから、もう一度お店に足を運んだんです。それでも“電話番号は残ってるから連絡するよ”と言われて。また2週間ほど連絡がなかったんですが、ある日の朝10時に“今日来れるか?”との連絡がありまして。そこから10年以上もここで働いていますね」 NYCに渡って夢を実現させたHIROさん。当初は1年で帰国する予定だった氏がなぜアメリカに止まったのか? 中編では渡米したもう一つの理由、現地での仕事を通じて得た経験などを語っていただきます。 HIROさん 広島で生まれ育って専門学校への入学とともに大阪へ。学生時代は昼間にヘアサロンで働きつつ、夜間で関西美容専門学校、通信教育でNRB日本理容美容専門学校に就学。大阪の枚方市にある『Braid&Bumba』を経て渡米し、現在はNYCの『FRANK'S CHOP SHOP』に勤務。人気バーバーに勤めつつ、同地にて契約した新しいフリースペースをベースに「何か面白いことを発信したい」と模索中。 Instagram:@mrhirojp
New sence 新しい美容師の働き方【CURRY JOCKEY編】
現代の働き方は昔と比べれば随分と変わりました。美容師という職業も例外ではなく、固定概念の美容師像とは違ってきています。今回は、『CURRY JOCKEY(カレージョッキー)』という名で全国各地のイベントにカレー屋として出店する顔も持つ、フリーランス美容師の真弓和樹さんについて。今のスタイルの働き方になった話を聞いてきました。 美容師がカレー屋に!? 「スタイリストデビューをした年にコロナ禍になってしまい、1回目の緊急事態宣言になった時に働いていた美容室が1ヶ月間休業になりました。その時に手が空いたんで、食べるのが好きだったカレーを作ってみようと。コロナ禍でお客さんも増えるような状況じゃなかったしカレー作りも楽しくなってきたので、もう自分でやろうと。スタイリストを1年間続けた後に、所属の美容室を辞めてフリーランス美容師になると同時にカレー屋としての道も歩み始めました」 『CURRY JOCKEY』のはじまり。 「最初はとにかくお金がなかったので、当時住んでいた家を解約してホームレス状態の生活をしていました。髪を切るかカレーを作るから泊めてもらうみたいな生活を半年くらいしていました。居候っていうのが気持ち悪いので、スキル交換で泊めてもらう概念にしようと思いました。その時にいろんな方の家に泊まらせてもらい、冷蔵庫の余り物で作るなどといった無茶振りにも強くなりました。それが今の『CURRY JOCKEY』としてのスタイルですね。でもこれ、美容師のカウンセリング能力が生きてるって思うんです。美容師が髪を切る作業と一緒で、今ある素材から削っていって導いていくみたいな。例えば、ズッキーニと鶏肉しかない場合、そこからスパイスでどうやってカレーにしていくかという。だから、カウセリング能力が相当生かされているとは思っています」 訪れたイベント現場は300以上!? 「スパイスとハサミだけ持って旅行に行き、BARとかに入ってカレーができる場所を聞いたりして繋げてもらって出店したこともあります。それで現地の人たちとも会話ができるからまた行く理由にもなってイベントが組めたり。カレーで仲良くなった人でそのまま髪を切らせてもらうこともあり、お金をもらうというよりかは泊まらせてもらったり物々交換でやっています。固定した場所にずっといるのがあんまり好きじゃないというか、動いてないと落ち着かなくて(笑)。そんな感じで今まで300以上のイベントに参加したことがありますね」 将来の展望について。 「代官山で美容師をやっていると、キレイ目でお金持っててみたいな上品な人たちしか出会わなくて。でも、イベントに出展しに行くと、既存の概念で生きていない人たちと出会うんです。そういう人たちのぶっちぎり方が面白く、その人たちに興味を持って仲良くなって今度一緒に何かやりましょうってなるんです。そういった人たちが好きに何かを表現してもらうようなイベントのオーガナイズみたいな動きを少しづつやり始めています。凄い良い音楽を作る人や凄い絵が上手い人とか、そういった人たちを知ってもらうイベントを組んでいきたいですね。それと、地域をズラすっていうのが好きで。東京でイベントを組んでいるとやっぱり東京に来る人ばかりになるけど、地方で東京の人たちのイベントをすればファンが東京から来たりとか、東京の人が地方のディープな人たちと繋がったりとか。そういった新しい化学反応というのをいろいろ巻き起こしたいですね」 人と話すことが好き。人を繋げることが好き。そんな想いを行動に移してカタチにしたカレー巡業スタイルの美容師。あらゆるジャンルで個性が尊重され多様性が求められるようになった時代だからこそ、真弓さんのような美容師スタイルは時代に合っているように感じました。 真弓和樹さん 高校卒業後にサラリーマンを経験した後、原宿のベルエポック美容専門学校を卒業して美容師の世界へ。東京のサロンで8年勤めた後、現在はフリーランスの美容師兼、巡業カレー屋『CURRY JOCKEY』として活躍中。 Instagram:@mayuyuyuyuyuuu、@curry_jockey