New sence 新しい美容師の働き方【CURRY JOCKEY編】
現代の働き方は昔と比べれば随分と変わりました。美容師という職業も例外ではなく、固定概念の美容師像とは違ってきています。今回は、『CURRY JOCKEY(カレージョッキー)』という名で全国各地のイベントにカレー屋として出店する顔も持つ、フリーランス美容師の真弓和樹さんについて。今のスタイルの働き方になった話を聞いてきました。 美容師がカレー屋に!? 「スタイリストデビューをした年にコロナ禍になってしまい、1回目の緊急事態宣言になった時に働いていた美容室が1ヶ月間休業になりました。その時に手が空いたんで、食べるのが好きだったカレーを作ってみようと。コロナ禍でお客さんも増えるような状況じゃなかったしカレー作りも楽しくなってきたので、もう自分でやろうと。スタイリストを1年間続けた後に、所属の美容室を辞めてフリーランス美容師になると同時にカレー屋としての道も歩み始めました」 『CURRY JOCKEY』のはじまり。 「最初はとにかくお金がなかったので、当時住んでいた家を解約してホームレス状態の生活をしていました。髪を切るかカレーを作るから泊めてもらうみたいな生活を半年くらいしていました。居候っていうのが気持ち悪いので、スキル交換で泊めてもらう概念にしようと思いました。その時にいろんな方の家に泊まらせてもらい、冷蔵庫の余り物で作るなどといった無茶振りにも強くなりました。それが今の『CURRY JOCKEY』としてのスタイルですね。でもこれ、美容師のカウンセリング能力が生きてるって思うんです。美容師が髪を切る作業と一緒で、今ある素材から削っていって導いていくみたいな。例えば、ズッキーニと鶏肉しかない場合、そこからスパイスでどうやってカレーにしていくかという。だから、カウセリング能力が相当生かされているとは思っています」 訪れたイベント現場は300以上!? 「スパイスとハサミだけ持って旅行に行き、BARとかに入ってカレーができる場所を聞いたりして繋げてもらって出店したこともあります。それで現地の人たちとも会話ができるからまた行く理由にもなってイベントが組めたり。カレーで仲良くなった人でそのまま髪を切らせてもらうこともあり、お金をもらうというよりかは泊まらせてもらったり物々交換でやっています。固定した場所にずっといるのがあんまり好きじゃないというか、動いてないと落ち着かなくて(笑)。そんな感じで今まで300以上のイベントに参加したことがありますね」 将来の展望について。 「代官山で美容師をやっていると、キレイ目でお金持っててみたいな上品な人たちしか出会わなくて。でも、イベントに出展しに行くと、既存の概念で生きていない人たちと出会うんです。そういう人たちのぶっちぎり方が面白く、その人たちに興味を持って仲良くなって今度一緒に何かやりましょうってなるんです。そういった人たちが好きに何かを表現してもらうようなイベントのオーガナイズみたいな動きを少しづつやり始めています。凄い良い音楽を作る人や凄い絵が上手い人とか、そういった人たちを知ってもらうイベントを組んでいきたいですね。それと、地域をズラすっていうのが好きで。東京でイベントを組んでいるとやっぱり東京に来る人ばかりになるけど、地方で東京の人たちのイベントをすればファンが東京から来たりとか、東京の人が地方のディープな人たちと繋がったりとか。そういった新しい化学反応というのをいろいろ巻き起こしたいですね」 人と話すことが好き。人を繋げることが好き。そんな想いを行動に移してカタチにしたカレー巡業スタイルの美容師。あらゆるジャンルで個性が尊重され多様性が求められるようになった時代だからこそ、真弓さんのような美容師スタイルは時代に合っているように感じました。 真弓和樹さん 高校卒業後にサラリーマンを経験した後、原宿のベルエポック美容専門学校を卒業して美容師の世界へ。東京のサロンで8年勤めた後、現在はフリーランスの美容師兼、巡業カレー屋『CURRY JOCKEY』として活躍中。 Instagram:@mayuyuyuyuyuuu、@curry_jockey