New sence 新しい動きで魅せる美容室 【di doo dah編】
ヘアカットやヘアケアをするだけではなく、それ以外のサービスや楽しみを提供する美容室も存在します。ここでは、他の美容室では味わえないコトを提供する美容室をご紹介します。今回は、堀江の隣町・桜川にある美容室『di doo dah(ディドゥダ)』。本格的な食事が楽しめるカフェが併設しているんです。 20歳からアメリカ村の美容室で働いていた西岡大輔さんが30歳のタイミングで自身の美容室『IRO(イロ)』を始め、ここで紹介する『di doo dah』は2号店として6月にオープンしたばかり。「混ざる感じが良いなと思って、カルチャーとか人が交わる場所にしたくて」と西岡さん。昔から様々なことに興味を持ち、海外などにも度々旅行していた西岡さんならではの新しいカタチの美容室です。 店の構造も美容室とカフェそれぞれの空間が見渡せて、人の導線も交流できるような作りになっている。 カフェスペースでは、西岡さんの知人で飲食経験のある宮内 愛さんがメニュー全般を手がけています。「美容師ってしっかりと昼飯が食べられないイメージじゃないですか。そんなことが普通になってきているのは変だなと思っていて」と、カフェスペースではスタッフも満足できる日替わりのランチメニューと焼き菓子が豊富にスタンバイ。他にも、陶芸作家の陶器やヴィンテージの花器、ワインのようなラベルデザインのオレンジジュースなども販売しています。 「美容師は美容師の仕事だけしなさいみたいな時代もあったんですが、自分は凄くナンセンスだなと思っていて。いろんなことしている方がいろんな人と触れ合えるチャンスがあって面白いですし、そっちの方が美容師としても深みが出るんじゃないかなと思っています。例えば、カフェスペースは祝祭日のみモーニング営業もしていて、その時に出すコーヒーもコーヒー屋さんにスタッフと勉強をしに行かせてもらったりもしています」と想いを語る西岡さん。美容師としてのスキルはもちろん、それ以外のことのスキルも学べる環境がここにはあります。 さらに、週末(金土日)のみカフェスペースが夜も営業。「夜は基本僕が立っています。普段、出会わない人たちと交流できるので、大変ですけどおもしろいですね。美味しいアテとお酒を用意してお待ちしています」 スパイスナッツ¥350やキーマカレー(フルサイズ)¥1100などの満足できる夜メニューも。 「今後は様々なポップアップイベントなども開催していく予定ですので、肩肘張らずに気軽に遊びに来てください」と西岡さん。多様性を求められる時代がそうさせたのか、『di doo dah』のように固定概念から外れた新しいカタチの美容室は、様々なヒト、モノ、コトがクロスオーバーしてワクワクしますね。 <SALON DATA> di doo dah/ディドゥダ 大阪市浪速区桜川3-5-11-101 Instagram: @di.doo.dah.hair
New sence 新しい美容師の働き方【CURRY JOCKEY編】
現代の働き方は昔と比べれば随分と変わりました。美容師という職業も例外ではなく、固定概念の美容師像とは違ってきています。今回は、『CURRY JOCKEY(カレージョッキー)』という名で全国各地のイベントにカレー屋として出店する顔も持つ、フリーランス美容師の真弓和樹さんについて。今のスタイルの働き方になった話を聞いてきました。 美容師がカレー屋に!? 「スタイリストデビューをした年にコロナ禍になってしまい、1回目の緊急事態宣言になった時に働いていた美容室が1ヶ月間休業になりました。その時に手が空いたんで、食べるのが好きだったカレーを作ってみようと。コロナ禍でお客さんも増えるような状況じゃなかったしカレー作りも楽しくなってきたので、もう自分でやろうと。スタイリストを1年間続けた後に、所属の美容室を辞めてフリーランス美容師になると同時にカレー屋としての道も歩み始めました」 『CURRY JOCKEY』のはじまり。 「最初はとにかくお金がなかったので、当時住んでいた家を解約してホームレス状態の生活をしていました。髪を切るかカレーを作るから泊めてもらうみたいな生活を半年くらいしていました。居候っていうのが気持ち悪いので、スキル交換で泊めてもらう概念にしようと思いました。その時にいろんな方の家に泊まらせてもらい、冷蔵庫の余り物で作るなどといった無茶振りにも強くなりました。それが今の『CURRY JOCKEY』としてのスタイルですね。でもこれ、美容師のカウンセリング能力が生きてるって思うんです。美容師が髪を切る作業と一緒で、今ある素材から削っていって導いていくみたいな。例えば、ズッキーニと鶏肉しかない場合、そこからスパイスでどうやってカレーにしていくかという。だから、カウセリング能力が相当生かされているとは思っています」 訪れたイベント現場は300以上!? 「スパイスとハサミだけ持って旅行に行き、BARとかに入ってカレーができる場所を聞いたりして繋げてもらって出店したこともあります。それで現地の人たちとも会話ができるからまた行く理由にもなってイベントが組めたり。カレーで仲良くなった人でそのまま髪を切らせてもらうこともあり、お金をもらうというよりかは泊まらせてもらったり物々交換でやっています。固定した場所にずっといるのがあんまり好きじゃないというか、動いてないと落ち着かなくて(笑)。そんな感じで今まで300以上のイベントに参加したことがありますね」 将来の展望について。 「代官山で美容師をやっていると、キレイ目でお金持っててみたいな上品な人たちしか出会わなくて。でも、イベントに出展しに行くと、既存の概念で生きていない人たちと出会うんです。そういう人たちのぶっちぎり方が面白く、その人たちに興味を持って仲良くなって今度一緒に何かやりましょうってなるんです。そういった人たちが好きに何かを表現してもらうようなイベントのオーガナイズみたいな動きを少しづつやり始めています。凄い良い音楽を作る人や凄い絵が上手い人とか、そういった人たちを知ってもらうイベントを組んでいきたいですね。それと、地域をズラすっていうのが好きで。東京でイベントを組んでいるとやっぱり東京に来る人ばかりになるけど、地方で東京の人たちのイベントをすればファンが東京から来たりとか、東京の人が地方のディープな人たちと繋がったりとか。そういった新しい化学反応というのをいろいろ巻き起こしたいですね」 人と話すことが好き。人を繋げることが好き。そんな想いを行動に移してカタチにしたカレー巡業スタイルの美容師。あらゆるジャンルで個性が尊重され多様性が求められるようになった時代だからこそ、真弓さんのような美容師スタイルは時代に合っているように感じました。 真弓和樹さん 高校卒業後にサラリーマンを経験した後、原宿のベルエポック美容専門学校を卒業して美容師の世界へ。東京のサロンで8年勤めた後、現在はフリーランスの美容師兼、巡業カレー屋『CURRY JOCKEY』として活躍中。 Instagram:@mayuyuyuyuyuuu、@curry_jockey