ママ美容師の働き方、どうしてる? #2 liberta マツイ マイさん
妊娠・出産は美容師女性にとっても、今後の人生に影響する大事なこと。ママになっても活躍する美容師さんってどうやって仕事をしているの?育児とサロンワークのバランスは?今回は京都のヘアサロン「liberta」で働くマツイ マイさんにその実態を聞いてみました。 ▼今回教えてくれたのはこの人 liberta スタイリスト マツイ マイさん 9歳と1歳の女の子を持つ二児の母。2011年に京都にあるデザイナーズサロン「liberta」へ入社。第1子と第2子の妊娠〜出産まで、サロンで働きながら経験。スタイルを作る上で意識していることは「その人らしさ」を大切にすること。 Instagram:@liberta_mai Q.美容師とママ、1日のスケジュールを教えて! 「朝7時頃に起床して、長女が学校に行くのが7時40分頃なので、それまでに朝ごはんを食べさせたり、準備をしたりします。8時40分頃に次女を保育園へ送ってから一旦家に帰って家事とかをします。10時頃に家を出て11時頃からサロンワーク。17時には退勤して18時頃に次女のお迎えと長女が帰宅。そしてみんなでお風呂タイムをして、夕食を食べて21時には寝ているというのが基本的な1日の流れですね」 Q.第1子の妊娠の時、産休・育休制度はどうだった? 「当時はまだ小さいサロンだったので福利厚生というものが整備されていなかったんです。私もその時は社会保険ではなく、国保(国民健康保険)だったくらい。なので最初の子を妊娠した時に1回辞めて無職になったんですよ。それから出産を経て、子供が保育園に入った頃にまた同じところで働き始めました。なので第1子の時は本当に大変でしたね」 Q.それから月日が経って、第2子の妊娠・出産はどうだった? 「長女の時が本当に大変だったので、第2子を考えた時は旦那さんとすごく話し合いました。旦那さんが1人目の時「ちょっと飲みに行ってくる」っていうのが本当に多くて。それだと2人目はなかなか難しいと思っていたし、私自身はすごく慎重に考えていました。でも旦那さんが望んでくれたし、実際に下の子が産まれてからはすごく意識も変わって、今ではすごくサポートをしてくれています。サロンも7年間で大きく変わって、福利厚生がしっかり整えられました。社会保険にも入れてもらって、産休・育休もちゃんといただきました。でも住んでいる地域の保育所事情もあって、12月に出産して結局4月には復帰していましたが(笑)」 Q.ママになってからのサロンの働き方は? 「オーナーとはその都度話し合いを重ねて、2段階で働き方が変化していきました。最初は時間給+歩合で働いていたのですが、色々ややこしくなってしまって。今は完全歩合制で働いています。そういう働き方になったことで、予約を自由に調整することができて今は本当に働きやすい環境になりました。働く時は働く、休む時は休むっていうメリハリが良いですね。でもサロンで出来ることは限られているので、ミーティングの参加やスタッフの技術レッスンなど、出来ることはなるべく参加するようにしています」 Q ママ美容師の大変なことは? 「私にしかできない仕事だからこそ、子供が熱を出すといったようなイレギュラーなことが起きるとやっぱり大変です。別のスタッフで対応が可能な時は代わってもらうこともありますが、基本的にはやっぱり子供を見てもらえる人を探すことが優先になっちゃう。少し可哀想な気持ちもありますが、仕事はどうしても責任が伴ってしまうので…。なので子供も含めて周りとは常に仲良しの関係性を築いていくことを大切にしています」 Qママと美容師、楽しむコツは? 「美容師をしていて良かったなって思うことが、例えばプライベートでイベントに行ったり、ご飯を食べに行ったり、遊びに行ったとしても自分の広告になるんですよ。それに「liberta」という看板を背負って楽しそうに美容師をやっているとサロンにとっても良い印象になる。子供のお陰で今は休みやすい環境になったので、一緒に遊びに行って楽しみつつも美容師としての顔も広めていく。そうしていると自分自身も楽しいし、結果的に美容師のお仕事にも繋がっているのでそれはすごく良いですね」 Q ママになってからサロンの客層って変化した? 「変化しました。最近はママでもオシャレをしたい人がお客さんで多いような気がしています。同じママという立場だからこそ、提案できるスタイルがあると思うんですよね。あとは、意外に話し相手がいないっていうママって多くて。そうなるとやっぱり同じ立場の人の方が話しやすいからという理由でサロンに来てくれる方も増えました。なので最近はファミリーやママのお客様が多いですね」 Q 将来の夢は? 「いつか自分のお店を持つこと。自分が決めたモノに囲まれた環境でサロンワークをしてみたいという願望がありますね。でも今はまだ下の子も小さいし、まだまだサロンに恩返しをしたい気持ちもあるのでこれは少し先の夢となりそうですが…。なので子供が小さいうちにできることをしっかりして、いつかは自分のお店を持てるように頑張っていきたいと思います!」 サロンと一緒にお互いにとって良い方法を模索して、美容師としてもママとしても楽しまれているところがとても印象的でした。今回登場していただいたマツイ マイさんありがとうございました。 <SALON DATA> liberta /リベルタ 京都市中京区六角通高倉東入ル南側2F http://www.liberta-kyoto.com/ Instagram:@liberta_kyoto
パパ美容師に聞く、家族と仕事のこと。
妊娠・出産を経た美容師ママのお話にフォーカスが当たることが多いけれど、パパ美容師っていったいどんな感じ?家庭と仕事ってどうしてる? 今回は夫婦共に美容師をしているというVIEWS OSAKAのSHOTAさんにお話を聞いてみました! ▼教えてくれたのはこの人 VIEWS OSAKA スタイリスト SHOTAさん 1才の女の子を持つ新米パパ。美容師歴は11年目で、他サロンを数店舗経験した後、今年の4月、現在のサロンに入社したばかり。得意なスタイルはメンズカットとショート・ボブスタイル。 Instagram:@5hota.o Q.パパ美容師の1日のスケジュールを教えて! 「朝は大体6:30〜7:00頃に起床。娘の朝ごはん係は僕の役割ですね。とはいえ、奥さんが日曜日に作り置きをしてくれたものを食べさせているだけですが…(笑)。でもこの時間が僕の癒しなんです。その後は自分の支度をして、9:30頃に娘を保育園に送っていきます。サロンは11:00からなので、それまでは家事をすることもあれば、友達と一緒にモーニングするなど、朝の時間も有効に使うようにしています。大体は20:00頃までは仕事。お迎えは奥さんが行っていますね。娘は21:00までには寝かせるので、早く帰ることが出来た時は一緒にお風呂入ったりもします。21:00以降は夫婦の時間を出来るだけ取るようにしていて、24:00にはいつも寝ています。 」 Q.パパ美容師の大変なことは? 「うちは奥さんも美容師なので、美容師夫婦だからこその悩みかもしれませんが…。例えばどちらか片方に新規のお客様を担当することになったりとか…どうしても外せない仕事がある時に、娘が急に体調崩したりするとどうしても調整しないといけないので、そこは大変ですね。二人とも両親が遠方に住んでいるのですぐに頼れないので…。それでも今のサロンではフリーランスとして働いているので、柔軟に動くことができるので成り立っていると思います。あとは僕の顧客様やお互いのサロンで一緒に働く方々のおかげでなんとか危機も乗り越えています!」 Q.奥さんの妊娠〜出産までどうやって過ごした? 「奥さんはギリギリまで働いていたので、産休は生まれる1ヶ月前くらいから取っていましたね。あまり特別なことをしていた訳ではないですが、出来る限り2人の思い出を作ろうとしました。生まれてきた時から3人家族になるので。あとは奥さんの運動を兼ねて、一緒に朝の散歩とかよく行ってましたね。でもただ歩くだけではなくて、美味しいパン屋さんを巡って楽しみを作ったり。コロナ禍だったので出産には立ち会えず、生まれたという連絡をもらった時は、すごく感動したのと頭の中で「めばえ」がBGMで流れていました(笑)それから写真とかLINEではやりとりしてましたが、実際に会えたのは1週間後くらい。ようやく会えたって感じでした。」 Qパパになって変化したことは? 「僕は美容師のほかにも音楽イベントを企画・主催していたのですが、コロナ禍だったということもあり、夜のイベントを企画することも参加することもほとんど無くなりました。その代わりに最近は「Market」っていう家族連れでも楽しめるようなマーケットイベントを企画して開催しています。2〜3ヶ月に1回くらいの不定期イベントなのですが、オリジナルアイテムを制作したり、いろんなジャンルの方と一緒に場を作り上げていくのが楽しいですし最近の息抜きにもなっていますね。イベント企画をする上でも子供ができたことで、ターゲットを若者からファミリー層にシフトチェンジしたし、配慮するポイントも変わったように思います。」 Q 仕事と家庭を両立するコツは? 「“夫婦の時間を作ること”と“程よく干渉して、程よく干渉しないようにすること”。家庭内のルールで夜ごはんは極力一緒に食べるようにしています。そこで今日あった出来事など色々話していますね。女性のスタイルを撮影する時にはアドバイスをしてもらったり、SNSのアップの仕方だったり…お互いが美容師なので仕事の話もよくします。でもついついヒートアップしてしまい、衝突することもしばしば。そんな時にちょうど良い距離感を保つことの大切さを痛感します(笑)。」 Q 将来の夢を教えて! 「いつか大規模なモーニングイベントを開催したいと思っています。子供ができて、休みの日でもかなり早く起きるようになったし、そういう家庭が多いともよく聞くので。そういう時間も有効に使えたらいいなと思うのでいつか実行したいですね。例えば、有名なアーティストを呼んだり、美味しいモーニングを提供したり、合わせてヨガをしたり…。家族連れの人だけでなく、それこそ美容師がそれぞれの仕事の前に気軽に立ち寄れたらいいなと。そしてそのイベントを僕も家族と一緒に参加できると嬉しいですね。美容師という仕事も家族もそして自分の好きなことも楽しんで行けたらいいなと思います。」 同じ美容師だからこそ大変なこともわかり合えるし、協力できるところは支え合う。それでも好きなことも諦めないという姿勢が印象的でした。今回お話を聞かせてくれたSHOTAさん、ありがとうございました! <SALON DATA> VIEWS OSAKA /ビューズ オオサカ 大阪市西区土佐堀1-1-30 グランドライン中之島 4F HP:https://viewsosaka.com/ Instagram:@views_osaka
ママ美容師の働き方、どうしてる?
妊娠・出産は美容師女性にとっても、今後の人生に影響する大事なこと。ママになっても活躍する美容師さんってどうやって仕事をしているの?育児とサロンワークのバランスは?今回はプライベートサロンを営む「tetote」のHARUさんにその実態を聞いてみました。 ▼教えてくれたのはこの人 tetoteオーナー HARUさん 1歳と5歳の女の子を持つ二児の母。プライベートサロンを作ると同時に妊娠出産を経験。産休をとっても2ヶ月先まで予約が埋まる人気美容師。 Instagram:@haru0330tetote Q.美容師とママ、1日のスケジュールを教えて! 朝6時頃に起きてから、毎日の日課になっている朝のウォーキングは欠かせません。精神が安定できるように1人時間を作っています。7時半には戻って朝食と朝の支度を。8時半に保育園へ送り届けて9:30に出勤。17時まで営業をして、18時半にお迎えに行きます。そこから夕食、とお風呂で、大体子供たちと一緒に21時には就寝しています。 Q.そもそも独立しようと思ったきっかけは? 元々は独立をする気が一切なかったんですよ。でも結婚して妊娠がわかった時につわりがとてもひどくて。通勤に1時間もかかっていたので、通うことが難しくなってしまったんです。しかもその妊娠がダメになってしまって…。初期の流産だったんですけど、それをきっかけに次の人生を考え始めた結果、独立しようと思いました。 Q.そこからお店をオープンさせるのにどれくらいかかった? 流産を経験したのが、29歳の10月。すぐに前のサロンを辞めて11月ぐらいにはもうここを見つけました。凄かったのが、物件も見つけてデザインのお支払いも全部済ませた次の日に妊娠がわかったんですよ。でももうお店のデザインを進めないといけないタイミングだったので、また酷いつわりと戦いながら、入院も経験して…。それでも翌年の2月にはオープンさせました。怒涛の日々だったけど、自分の中では凄いと思える経験となっていて。出産と開店が同時でもちゃんと出来るんだよっていうのを伝えたいですね。 Q産後はどうやってサロンに? 切迫になって、早めに産休を取ったこともあり…。待ってくれている方も多かったので、産んでから1ヶ月後には働いていました。旦那さんが夕方からの仕事なので、朝から15時頃までは働かせてもらって、そこからバトンタッチするということを保育園に入るまで。そこからは私もフルで働けるようになりました。 Q 2人目の時はどうだった? 一人目の子の時、無理をして働いたことで結構体調を崩してしまって。だから二人目の時はちゃんとサロンも軌道に乗せて、絶対1年は休もうっていうことは決めていました。でも空家賃が発生してしまうので、そこだけは悩んでいて。そんな時、お客さんで来てくれた子が独立をしたいけど、とりあえず1年間どこかで試してみたいと思っていたらしく。やりたい雰囲気がすごい似ていたので、とりあえず1年間試しにやってみる?って提案したんです。それがお互いにとって良かった。私も結局3ヶ月で復帰しましたが、その間私のお客様もしてもらえたし、その子も問題なく独立できたし体調を壊すことなく復帰もできて本当に良かったと思います。 Qもし子供が何かあった時どうするの? 私たちの場合は親も近くにいないので、頼れる人がいないんです。でも、たまたまこの地域が病児保育というものをやっていて。しかも小児科の隣なのでその病院と連携しているんです。なのでそこへ電話したら保育園まで迎えに行ってくれるし、そのまま病院に連れて帰ってくれて診察してくれるし、診察結果もメールでくれて、そのまま18時まで見てくれるんです。そのおかげで閉めることなく営業できています。たまに、そこまでして働くなんて子供がかわいそうって声もあるんですが、それで好きな仕事を諦めるなんて勿体ないと思いますし、母親だって好きな仕事をしてキラキラしていたい。使える制度があるなら使って、あまり追い込む必要性は無いと思います。 Q 周りのサロンで働くママはどう? 大きなサロンで働いている子がママになったんです。その子は元々美容師としてかなりストイックだったので子供が産まれた話を聞いて少し驚きました。でも出産後もめちゃくちゃアクティブで。産後1ヶ月でヘアショーのために東京まで行っていたんです。聞くとその子の旦那さんも美容師なんですが、夜の12時に旦那さんが帰ってきてからバトンタッチでヘアショーの仕込みのためにサロンへ行って、レッスンをして帰るという生活をしていたみたいです。今もいろんなところに飛び回っていて私よりパワフルな人がいるって思いました(笑)。その大手のサロンでもちゃんと産休育休をとったのがその子が初めてだったみたいで、今後ママ美容師さんが働きやすい環境を作ってあげたいって話していました。私の周りも頑張りたいって人も多いけど、結局独立している人が多いかもしれませんね。 Q ママと美容師の両立、楽しむコツは? 嫌なことはやらない。私、料理めっちゃ嫌いなんですよ。常識的に子供がいたら料理はしないといけないって思われるけど、本当に逆で一切やっていません。なので料理は旦那さんが担当しています。こんな生活に料理が入ってくるとめちゃくちゃストレスだったと思うし、考えるのも無理。そのキャパが頭の中に無いので。だから、しないっていうことを決めたんですよね。全部を完璧にしようとすると多分、本当にしんどくなる。だから得意な人にお金を払ってでも苦手なことは頼めばいいし、得意なことを伸ばせば良いと思うんですよ。そっちの方が結局稼げるし、自分のやりたいことができてハッピーになると思うので。そういうWin-Winな関係を周りでいっぱい築けたらいいなと思います。 Q 将来の夢は? ずっと仕事をしてきた人生なので、これからもメインは仕事。でも6年経って7年目になった時に全然休めていないことに気付いたんです。なのでこの4月から週休2日にしました。そして、5月末から自分のアクセサリーブランドをスタートさせました。このブランドはオンラインショップをメインでやっています。Instagram:@sorella___by.tetote 美容師ってずっと労働じゃないですか。やった分だけ自分が動いた分だけみたいな。なので、自分が動かなくても収入が得られる軸を増やしたかった。これが軌道に乗ったらもっと家族の時間を増やせると思うし、豊かになると思う。自分のやりたいことに時間をかけられる日をもっと取れるようになりたいっていうのが今の一番近くの未来の夢ですね。 ママになってもやりたいことを諦めないでほしいと力強く話してくれました。諦めるより先にやれる方法を模索してみるっていう姿勢が大事なのかもしれません。今回登場していただいたHARUさんありがとうございました。 <SALON DATA> tetote/テトテ 大阪府柏原市国分西2-1-31 スタンドアップ国分1F HP:https://tetote-haru.amebaownd.com/ Instagram:@haru0330tetote