
今、「現代短歌」などとも言われ、ものすごい勢いで短歌ブームが到来しているって知っていますか?
イマドキの言葉や口語を用いた現代の短歌は、クセになるような心地よさがあり、NHKの番組『NHK短歌』にはクリープハイプの尾崎世界観さんが出演したりと、ミュージシャンやラッパーからも注目されているんです。
5・7・5・7・7、たった31音の世界は読後の余韻がとても良く、すぐ読めるのでカラー中や待ち時間にもちょうどいい。
ということで今回は、短歌を多く取り扱う大阪・中崎町の『葉ね文庫』さんに、ヘアサロンで読んでほしい5冊をピックアップしてもらいました。
それぞれ一首も選んでもらったので、ぜひ参考にしてくださいね。
吉田恭大『光と私語』(いぬのせなか座)
“ 飼いもしない犬に名前をつけて呼び、名前も犬も一瞬のこと ”
「新しい表現や文体のおもしろさなど、言葉の可能性を模索している方たちがとくに好む一冊。透明シートにくるまれ、飄々とした佇まいは都会的で、ほどよい距離感をつくってくれます」
岡本真帆『水上バス浅草行き』(ナナロク社)
“ 平日の明るいうちからビール飲む ごらんよビールこれが夏だよ ”
「今、実は短歌ブーム到来、と言われているのですが、この本の大ヒットもそのひとつ。誰もがすぐにイメージできる生活の1シーンが切り取られていて、しかも同時に気づきがあったりして気持ちいい。明るさのなかにほんのりと暗さがあるのもいい」
千種創一『千夜曳獏』(青磁社)
“ 人生が何度あっても間違えてあなたに出会う土手や港で ”
「読んでいると、自分の内側から詩情のようなものが溢れてきて驚きます。自分の記憶が顔をだして、感情を揺さぶられたりもします。第一歌集の『砂丘律』もおすすめ」
岡野大嗣『音楽』(ナナロク社)
“ どんな音楽もやさしくきこえるよ旅の終わりのねむたい耳に ”
「日々のいろいろな場面を切り取って流して、音楽のよう。やさしいまなざし。岡野さんの歌集をお守りのようにして読んでいるお客さんもいます」
山崎聡子『青い舌』(書肆侃侃房)
“ 舌だしてわらう子供を夕暮れに追いつかれないように隠した ”
「子どもと過ごす時間のなかで呼び起こされる記憶。歌の調べが心地よくて、不穏な世界に引き込まれていきます。歌集のなかの「わたし」と重なっていく感覚がたまりません」
短歌(現代短歌)の本は装丁が凝っているのも特徴。ひとつ一つが丁寧に作られているので、選ぶのも楽しいです。
インターネットや大型書店で手に入りますが、『葉ね文庫』で店主の池上さんに好みを相談して選ぶのもおすすめです。
▼今回紹介してくれた人
葉ね文庫 店主 池上きくこさん
<SHOP>
葉ね文庫/ハネブンコ
大阪市中崎西1-6-36 サクラビル1F