『美容道』。それは美容師人生を歩んでいく中で、それぞれが理想を追い求めて突き進んでいく道のこと。そんな険しくも輝かしい道を歩み続ける方々を招いて、パーソナルな部分を紐解きながら各々の美容道に迫っていくというこの企画。第3回目となる今回は、実力派スタイリストでありながら、「Vendange」「iki」のオーナーでもある中 昌幸さんをお迎えしました。サロンだけでなく、飲食のプロデュースや堀江のスタンド「最高ピーポーOSAKA」も経営するなど、多彩な顔を持つ彼のアイデンティティとは。 ー本日はお忙しい中ありがとうございます。まずは、こちらから投げかける単語から連想するものをファーストインスピレーションでお答えください。その後、それぞれの回答の理由を教えてください。 ー学生時代 「ファッション」 「高校生の2年生の時、人生のターニングポイントがあったんです。普段は制服だったんですけど、クラス遠足は私服だったので、そのためにクラスの目立ってるスケーターの子やバンドの子たちにアメ村に買い物に連れて行ってもらって、全身一式買ったんです。それで遠足の当日、バスに乗り込んだ瞬間に女子全員が褒めてくれたんですよ。そこからファッションが好きになりましたね」 ーファッション 「雑誌」 「ファッションって雑誌からだったんですよ。当時はインターネットがなかったので、雑誌で情報収集して、ファッション関係の仕事に就きたいなと思っていた時期があります。その後ヘアメイクという仕事があるっていうのを知って、美容学校に行ったんです。それが美容師になるきっかけですね」 ー推し 「コーヒー」 「のめりこんでしまって。10年くらい自宅で自家焙煎して、サロンでおもてなしの一環として提供してたんですけど、最近業務用の焙煎機を買ったんですよ。それでスペシャルティコーヒーの豆も買って。奥が深いんで、どんどんのめり込んでいって…。なんでも仕事につなげるタイプなんで、お客さまが喜んでもらえたりすると付加価値になるかなと」 ー欲しいもの 「ない」 「なんかね、すぐ買っちゃうんですよ(笑)。欲しいな、欲しいなってずっと悩むっていうことがあんまりなくて。直感で「あっ」て思ったらすぐ買っちゃう。よっぽど高いものは別ですし、自分の中の費用対効果みたいなものは意識はしますけど、焙煎機と同じで、それで満たされることが大事。それに、そこで終わらずに仕事につなげるようにしていますね。すごく欲しいものしか買わないので、買って後悔することはないです」 ーパートナー 「妻」 「例えばお笑い番組を家族で観ていても、僕は爆笑して声に出したりテレビに話しかけたりしないんですよ。でも奥さんはマラソン観てても「がんばれ~っ!」て言ったりしてて。それって新鮮で。なんかほっこりしていいなって思うんです。僕は心の中で「ふふん」って笑うくらいなんで。そういうのが奥さんとは真逆で、やっぱり真逆のものには惹かれますね。あとは宝物である息子を共有しているパートナーでもあります」 ー食 「趣味」 「好きになると本当に掘り下げちゃうんです。普段何気なく食べてるものでも、「美味しいな」で終わるんじゃなくて、これがどうやってできてるんやろってすぐ調べてしまう。それで、それを作ってる時がすごくわくわくするんですよ。例えば生ハムだと乾燥して寝かせていくんですけど、その過程で生ハムの香りに変わってくる瞬間があるんですよ。料理ってプロセスが楽しい。この前、尼崎の立ち飲み屋に行ったんですけど、駅からの田舎道でお父さんとお子さんが川でサリガニ釣ってたんですよ。そういう予期せぬことも含めて、新しいお店に行くのもすごく楽しみですね。気づきがあって」 ーサロン 「中心」 「今、化粧品のプロジェクトと飲食店、美容室経営、フードのプロデュースをやってるんですけど。いろんな仕事させてもらって、いろんな人と会って、なんか自分ってなんだろうなって思うんですけど。やっぱり美容師としての自分を見てほしい。あくまで美容室のオーナーがやってる飲食店。美容室のオーナーがやってる化粧品。美容師としての自分が一番しっくりくるというか。美容師が本業というのは変わりないですね」 ー美容師 「無くてはならないもの」 「美容師の本質って「あなたに出会えてよかった」だと思うんです。僕は髪の毛だけじゃなくて、美味しいごはん屋さんも教えたいし、お肌がきれいになる化粧品も教えたいし、いけてるグッズだったり、自分からアウトプットしてお客さんがインプットしてくれればなっていうのがあって。それが自分らしさかなって思います。ヘアスタイルだけでは人はきれいにならないっていうのが、今まで美容師として追求してきた僕の答え。本当に美容師やってきてよかったなって思うし、ファッションから美容に行こうって決断して本当によかったなって思います」 多彩な分野で活動する中さんのスタイルは、これからの時代のお手本かもしれません。ついつい聞き入ってしまうインタビューの全貌は、ぜひ動画でチェックしてみてください! #3 iki オーナー 中 昌幸さん Instagram : @nakamasayuki <SALON DATA> iki/イキ 大阪市西区南堀江2-11-8 tel : 06-6568-9745 http://iki-salon.jp/ Instagram : @iki__salon