NEXT CREATOR'S #2 ADITION 渋谷 室 優菜さん
次世代のスタイリストさんにフォーカスをして、過去から現在、そして未来の美容師像のお話まで、さまざまな角度から迫っていくこちらの企画。 今回お話を聞かせてくれたのは ADITION 渋谷で働く、室 優菜さん。1年半前に大阪から上京した彼女は、今年の2月にカラーリストデビューを果たしたばかりだという。SNSで10万人以上のフォロワーがいる、インフルエンサーとしての一面を持つ彼女の美容師像とは!? ー大阪から最近上京されたそうですが、どんなきっかけがあったんですか? 「私、小学生の頃から美容師になることが夢だったんですね。だから「高校も卒業できたらいいや」という理由で、家の裏の学校を選んだくらい。行きたかった美容専門学校も卒業後に入社したサロンも全部家から自転車で15分圏内。20年以上そんな環境で過ごしてきたから、自分自身に怖くなっちゃって。地元を出て新しいことをしたいと思った時に、「一旦東京行っとくか!」ってなって。それで上京を決めました」 ー小学生の頃からもうすでに美容師の夢を!? 「理由は覚えて無いんですけど(笑)。でも美意識の高い母のおかげで、幼い頃からファッションや美容に関して触れる機会が多かったんです。子供用のメイク道具を誕生日に買ってもらったり、可愛い服をたくさん着せてくれたり…だから自然と容姿に関わることが好きになっていったのかもしれません。中学生になった頃にはもう行きたい専門学校も決めていて、そこに入学することだけを考えてました」 ー中学生でそこまで決めていたんですね。実際に入学してギャップとかはありませんでした? 「なかったです。むしろ美容師になりたい気持ちが強くなりました。というのも、中学生の頃から容姿にコンプレックスがあったんです。だからメイクなど、めちゃくちゃ研究しました。高校生の頃にようやく自分のスタイルを確立できて、そこから変わったんです。専門学校で本格的に勉強をするようになってから「自分がこれだけ変われたんだから、人も変えてあげられるな」って思うようになって。それが本格的な美容師の一歩だったのかなって思います」 ー美容師の夢を叶えてもう4年経ったわけですが…振り返ってどうですか? 「大阪時代は、技術というより接客を学んだ1年半でした。自分のスタイルについて考えるようになったのは東京に来てからです。上京してすぐの頃は専属のアシスタントとしてフリーランスサロンで働いていましたが、そのサロンが無くなることになってしまって。その頃に知り合ったのがADITIONのいさなさんでした。お声がけいただいて、一緒に働くようになってから自分自身の作りたいものや技術面と向き合い始めたように思います」 ー技術面はどうやって磨いていったんですか? 「ADITIONはデザインカラーが得意なので、サロンの先輩方に指導をしていただきました。あとは、営業終わりにカラーモデルを呼んでひたすら練習。入社してから毎日やり続けた甲斐があって、今年の2月にカラーリストとしてデビューさせてもらいました」 ーなるほど。とにかく経験を重ねられたんですね。では今一番頑張っていることはなんですか? 「今はカットを極めてきちんとスタイリストデビューをすることが目標です。私のフォロワーさんが男女半々くらいで、メンズでも私になりたいって言ってくれたりして…。性別関係なく私目当てできてくれるので、メンズもレディースもきちんとできるようになりたい。今日も営業終わりにウルフカットの試験があります(笑)」 ーセンスを磨く上でのインプットはどんなことをされていますか? 「インスタは見ていましたが、結局はバズってる美容師さんのマネじゃないですか。だからあまり参考にしなくなりました。そういえば最近、上野動物園に行ったんですけど色がキレイなカエルがいて。デザインに使えるかもって思って写真に残しておいたんです。そしたらこの前、初めてカラーをする高校生のお客様が来店してくださったんですけど、ブリーチで2色入れたいっていう要望があって。カウンセリングしていくうちにその時見たカエルの色を思い出して、ブルー系のアンブレラカラーにしたんです。これが良かったなと思って。案外、髪と関係ないことの方がインスピレーションになりますね」 ーSNSのフォロワーがかなりいらっしゃるみたいですが、いつから始めましたか? 「SNSの発信を始めたのは専門学生時代。2年生に上がった頃にコロナで学校に行けなくなってしまって。集客とか何かしないとなーって思って、まずはTikTokを始めました。投稿を続けていくうちに、フォロワーさんもバンっと増えていって17万人に。インスタグラムの方は、上京するまで1.7万人くらいだったんですけど、こっちで出会った人に「その感じで3万人くらい(フォロワーが)いないんだ」って言われたのがきっかけで火が着きました。それで絶対抜かしてやるという気持ちで頑張って、今では11万人の方にフォローいただいてます(笑)」 ーすごい!!簡単に抜かせるものですか!? 「とにかくやり続けました(笑)。あとはフォロワーと相性がいいものを考えて音源を選んだりとか、細かいところも気にしながら。でもカラーリストデビューするまで自分のスタイルを載せてこなかったので、11万人もフォロワーがいる割には全然集客に繋がらなかったんです。いさなさんに話を聞いてもらって「室(むろ)は美容師としての準備が弱かったな」とか言われたり(笑)。ようやく自分らしさもわかり、スタイルを載せ始めたのでこれからもっと集客に繋がっていけばいいな」 ー最後に理想の美容師像を教えてください。 「やっぱりお客様に憧れられる美容師ですね。SNSで自分の顔を上げていた分、私になりたい!って言ってくれる子もいて。実際に私を見て美容師になりたいって思ってくれた子が、今年美容専門学校を卒業して美容師になるんですよ。そんな話を聞くと容姿以外の部分でも人の人生って変えられるんだなって思って。美容師以前に「この人になりたい!」って思ってもらえる存在でありたいです。そのためにはファッションやメイクのことももっと知りたい。お客様に携わっていくならそれ以上の知識を持っておくべきだと思うし、そこに技術面もつくようになれば怖いものはないなと思っているので。長い目で見てそういう美容師になりたいですね」 小学生の時からの夢を叶えて、本格的に美容師としての人生を歩み始めた室(むろ)さん。独自の感性を磨き続ける彼女のスタイルに今後注目していきたいですね。 <PROFILE> ADITION 渋谷 カラーリスト 室 優菜さん 2001年大阪生まれ。関西美容専門学校卒業後、大阪・梅田のサロンで1年半働いたのち、東京へ。Tiktokで人気を集め、Instagramでも11万人のフォロワーを持つ注目のインフルエンサー美容師。 Instagram : @jilliy_61__ 〈SALON DATA〉 ADITION 渋谷 / アディション渋谷 東京都渋谷区神宮前5-29-10 クリプトメリア神宮前ビル3F URL : https://adition.jp/
NEXT CREATOR'S #1 IRO 高橋拓海さん
「NEXT CREATOR'S」では次世代のスタイリストさんにフォーカスをして、過去から現在、そして未来の美容師像のお話まで、さまざまな角度から迫ります。 今回お話を聞かせてくれたのは、IROスタイリストの高橋拓海さん。メンズのヘアスタイルを得意とし、彼のゆるやかな雰囲気に惹かれてやってくるお客さんが多いのだとか。そんな高橋さんの美容師としての歩みを伺っていきましょう。 ー本日はありがとうございます!早速ですが、まずは美容師になろうと思ったきっかけを教えてください。 「幼なじみのご両親が自宅で美容室をされていて。当時、その子の家にほぼ毎日遊びに行っていたので、自然と良いなって思うようになったんです。出身が神戸の田舎の方なのですが、将来はのんびりと美容師が出来れば…みたいな感じでしたね」 ー将来に対しての考えは今も変わらずですか? 「専門学生の時に、大阪へ来てから変わりました。都会で頑張ってる美容師さんと会う機会が多かったのと、サロンモデルも経験して「こういう世界もあるんだ!」と刺激を受けて。それからはこっちで頑張ろうと思うようになりました。東京は今のところ考えてないですが、僕が担当しているお客様が20代の方が多く、転勤や就職で上京する人が増えてきたので、ゆくゆくは…って考えることもあります。でも今は大阪で地盤を築いていきたいですね」 ー今のサロンが2店舗目ということですが、一番最初に就職した時はどうでした? 「最初のサロンは厳しいところだと聞いていましたが、僕自身そういう環境じゃないと出来ないタイプだし、基礎はちゃんとしたいなという気持ちがあったので就職を決めました。当時はたくさん練習しましたね。それこそ朝7時半に行って夜は終電で帰るを繰り返し。同じスタイルのテストも半年くらい落ちまくったりして…。とにかく基礎を叩き込んでもらいました」 ー相当な練習を積まれたんですね…!そこからIROへ転職を決めた理由はなんですか? 「IROのオーナーも同じサロンのOBだったんです。それで、たまたまお話する機会があって。共感する部分も多かったし、IROに通っているお客様の層も自分と合いそうだし、やってみたいって思ったので転職しました。最近はカフェを併設したサロンがオープンしたので、月交代で行き来しています。IROとまた違った雰囲気を楽しめるのが新鮮で楽しいですね」 ー高橋さんはメンズのスタイルに特化されているそうですね! 「スタイリストデビューをしたばかりの頃はメンズもレディースもSNSにアップしていたんですが、メンズの方がすごく反応が良くて。半年経ったくらいの時に絞って極めてみようかなって思うようになったんです。スパイキーショートヘアが最初人気だったので、このスタイルを多くアップしていましたね。でもショートに特化したいわけではなく、色んな見せ方ができるようになりたかったので、今はレングスにこだわらずアップするようにしています」 ーメンズスタイルをインプットする上で意識されていることは? 「映画をよく見るので、出てきた髪型がカッコいいと思ったらその感じを覚えてスタイルをミックスさせたりはしますね。あとは、自分のお客さんが読んでそうな雑誌は読むようにするとか。でも結局、自分が通っている服屋と同じ店で買っている人が多かったりするので、意図せず結構ハマることもあります(笑)」 ーなるほど。高橋さんの空気感に惹かれて通うお客様も多いのでは? 「もしかしたら、そうかもしれないですね(笑)。気張った感じよりかは、抜け感があるスタイルが好きというか。僕自身ナチュラルだけど人と違う雰囲気は出したいと思っているので、そういうところを汲み取って来てくれる人が多いのかもしれないです」 ー最近気になっているヘアスタイルはありますか? 「海外の男の子のスタイルをよく見ていて、ボブスタイルで前髪を作っているヘアとかナチュラルなパーマウルフヘアとかやってみたいですね。ちょっとアンニュイな感じとか」 ー最後に理想の美容師像&将来のビジョンを教えてください 「今はメンズに特化していますが、最終的にはいろんな世代の人を切れるのが理想ですね。そして将来的には自分のお店を持ちたいです。今はSNSで集客をしていますが、もし自分のお店を構えるなら地域密着型のスタイルでやりたい。だからこそ女性の方や年齢の高い方もきちんとできるように勉強してるところです」 彼の穏やかな話し方とゆるい雰囲気とは裏腹に、やるべきことは厳しい環境に身を置いて極めていく姿勢が印象的でした。「これからやりたいことがたくさんある」と、教えてくれた高橋さん。今後の展開が楽しみです! <PROFILE> IRO スタイリスト 高橋拓海さん 1998年兵庫県出身。ル・トーア東亜美容専門学校卒業後、大阪・南船場のサロンを経て、3年前に IRO へ入社。SNSではメンズスタイルに特化している。 Instagram : @_takumi_takahashi_ 〈SALON DATA〉 IRO /イロ 大阪市西区南堀江2丁目7-17-105 URL : http://iro-hair.com/