知っておきたい韓国ヘアのヒミツ
90年代よりサロン業界の先頭を走り続けている『遊人』。確かな技術に新旧のファンは多い。そんな『遊人』が2013年より韓国でサロンを運営していた(コロナ禍の影響で現在は撤退)って知っていましたか? 昨今の韓流ブームの影響もあり、韓国の美容業界についてもいろいろ知りたいところ。ここでは、『遊人』のスタイリストである坂田さんに韓国のヘアスタイル事情について聞いてみました。 ー韓国でサロンを経営していたとお聞きしました。 「そうですね、韓国で8年ぐらいやっていました。2013年にオープンして、コロナ禍の最後のとき(2022年)に閉めてしまったんですが。コロナ禍の時、日本よりもの韓国の方が厳しく、日本であれば休業補償のようなものが出ていましたが、韓国ではそのような保証がなかったとオーナーより聞いています」 ー韓国のサロンでは、スタッフなどはどのよう雇っていたんでしょうか? 「韓国はビザを取ることが難しく、韓国の美容免許が必要なんです。2011年くらいまでは日本の美容免許があれば韓国の美容免許に変えてもらえてたんですが、法律が変わってそれもできなくなったので、現地法人を立ち上げて、現地のスタッフを雇って経営していたみたいです」 ー『遊人』が日本で培ってきたスタイルで展開されていたんでしょうか? 「韓国は独自のヘアスタイルがあり、日本とは全然違ったスタイルでやっていました。というのも、韓国は1997年に経済危機に陥って国が破綻してしまったんですよ。そこから、デジタルと芸能の産業で国を立て直す方針に変えていったことで、今の韓国のスタイルができたと思います。それまでは、日本の流行を追っかけていたくらい日本の文化が色濃くあったんですが、今はアメリカやヨーロッパの影響を強く受けていますね。昔は、日本の美容学校に韓国の方が1人か2人は勉強しに来ていましたが、サロンを韓国に構えた時(2013年)には、もう独自のスタイルが出来上がっていましたね。今は韓国ブームの流れもあって日本のサロンが韓国の美容師さんを呼んで教えてもらうようなケースもあります」 ーそれはどういったヘアスタイルを求めて呼んでいるんでしょうか? 「やはり独自のやり方というのがあり、ヘアスタイルを作るにあたってのコツのようなものがあるんです。例えば、毛先だけパーマをかけるとか、どの辺でコテを入れるとか。あと、デジタルパーマが多いですね」 ーちなみに、韓国ではどのようなスタイルが主流なんでしょうか? 「当時の話にはなりますが、日本はどちらかと言うと“かわいい”や“子供っぽい”雰囲気を好みますが、韓国はエレガントやセクシーな雰囲気を好みますね。レッドカーペットを歩くようなスカートも長かったり、そういった優雅なお金持ちのお嬢さんのようなスタイルが大好きで、ボリュームあるロングヘアが好まれます。それに日本とは圧倒的に髪のボリュームが違います。ショートヘアにしても、日本はすとーんとミニマムにまとめる感じが多いんですが、韓国はボリューミーに膨らませますね。髪の毛とかもセニングを入れることを嫌がることが多く、重たいままが好まれます。だから、日本の感覚とは違っていたようです。今は、レイヤーが多いように思えます。それもローレイヤーと言ってレイヤーする段が下の方にあるスタイルと、それの中間くらいのミディアムレイヤーが多いですね。韓国は、芸能に裏付けられたブームのようなものがあり、BLACLPINKやBTSのような世界的に認知されているアーティストがいますし、映画も世界的に評価されていることによって、韓国文化が一気に花咲いたみたいなところがあるので、そういった文化に影響を受けたスタイルが主流だと思います」 ー男性はどういったスタイルが人気なんでしょうか? 「韓国の男性はほとんどがマッシュルームっぽい、前髪を下ろしていたりセンターを上げたような、本当にBTSのようなヘアスタイルが大半ですね。それと、男性って大体がサイドの髪の毛が立つことが多いので刈り上げたりするんですが、韓国は基本的には刈り上げないでストレートパーマの弱い液で根本から潰すダウンパーマをしている方が多いです。根本から毛を折ることで側頭に沿って髪の毛の広がりを抑えることができるんです。日本ではありえない技術でなんですが、韓国では整形も同じようにいじっても可愛ければアリという文化なので、それが主流ですね」 ーその他、韓国と日本のサロン経営での違いや気づかれたことはありますでしょうか? 「例えば極端な話ですが、最初に50万円で売っていた毛皮のコートがあったとします。日本であれば2年くらい売れなかったら安くして売ることが主流だと思うんですが、韓国では0をひとつ加えたら次の日に売れたということがあるんです。要は高いものが良いという風習があって、カット代も1万円から1万5千円はつけてくださいって言われました。日本のようなカット代(7千円〜8千円)でつけてしまうと、安いから上手くないだろうと思われてしまうんです。やはり、そういったところにも、エレガントなヘアスタイルを求める部分に繋がっているんだと思いますね」 日本のお隣の国ということもあり、身近に感じる韓国。なのに知っているようで知らないこともたくさんあり、今回のお話でも初耳な情報がたくさんありました。文化の違いがヘアスタイルの流行にも影響を与えているあたりがとてもおもしろく新たな発見でもありました。 坂田美来 遊人central スタイリスト Instagram:@yujin_sakatamiki <SALON DATA> 遊人central/ユウジン セントラル 大阪市中央区心斎橋筋2-6-9 福穂ビル3F HP:hairmake-yujin.com Instagram:@yujin_central